「もう二度とバイクに乗れない」と諦めていたような参加者に再び感動を
参加者はまずそれぞれのライディングレベルの確認をしながらステップアップをして行くことになる。事故前は普通に乗れていたバイクも、脊椎損傷を負ってしまったことでまっすぐに走らせられないこともある。まずはアウトリガー付きの小型バイクでまっすぐ走れるかのチェックを行い、そこで練習を重ね、バイクに乗れると判断ができた場合、大型車両で先導付きの走行へ移行していく。
走行会では、広場での直線走行だけでも多くの参加者が涙する。「もう二度とバイクに乗れない」と諦めていたような参加者にとって、自らのアクセルとブレーキ操作で風を切って走ることができるという行為だけで感極まるのである。
視覚障がいを持った2名が参加
また、今回の視覚障がいを持った2名が初めてこれに参加した。ともに後天的な視覚障がいとなる。ヘルメットに組み込まれたインカムを使用し、SSPのスタッフの指示を受けながら走行をするわけだが、まっすぐ走らせることの難しさを本人はもちろん、周囲のボランティアスタッフも実感した。
それでも何度も走行をしているうちに走行も様になっていく。高校卒業から2年ほどバイクに乗っていて事故により失明した山仲さんは「10代の頃のことがよみがえりました」と走行を楽しんだ。
また、3歳で視覚障がいが始まり高校生の頃には完全に失明していた小林さんは、機械いじりが好きで、クラッチなどの機構にも興味を持ちつつバイクを体験したがクラッチよりもブレーキ操作の繊細さに苦慮。
「次回は緊張せずにまっすぐ走ることをクリアしたい」と早くも次の走行の機会を待ち望んでいる様子であった。
SSPのパラモトライダー体験走行会は引き続き、障がい者もバイクを楽しむ機会を設けていく。