トランスミッションは4速から5速にモディファイ済み
インテリアに目を移すと、運転席側はバケット化されており、安全性を考量してかヘッドレストも備わっているが、助手席側のノーマル形状のシートと違和感なく仕上がっている。
メーター類はイエーガーとアバルト、2つのネームの入ったメーターが備わり、追加のものはない。そして助手席前のダッシュパネルにはハザードスイッチが。年式的には装着義務は不要だが、ラリーなど公道上でのアクシデントを知らせるため追加されたようだ。
また、この595SSはトランスミッションが純正の4速から5速にアップグレードされていて、本来は装備されていないシフトゲートを新設し、ミスのない的確な操作を可能にしている。足まわりも、当時のアバルトでも用意されていたディスクブレーキ化がなされていて、現在のクラシックカー競技のレギュレーションに合わせた最良のアップデートが施されているわけだ。
速くてキビキビした走りで自然に笑顔になれる
このほかに「フィアット・アバルト750GTゴッチア ヴィニャーレ」、「750レコルトモンツァ・ビアルベーロ」と2台のクラシック・アバルトと、21世紀のアバルト「695トリブート・フェラーリ」も所有しているKさんだが、ボディ換装タイプではない、大衆車をベースにチューニングを重ねた595SSではアバルトのまた違った魅力を楽しんでいるそうだ。
「ゴッチアやレコルトモンツァは軽くてよく曲がるのは変わりないですが、運転する時はいつもどこか緊張しています。595SSは、速いのはもちろんですが、キビキビしていて運転していると自然と笑顔になってしまう感じがまさに『ゴーカートに乗っている感じ』なんです」
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なお取材日はちょうど、友だちのSさんが1959年式のフィアット「500」でKさんガレージに遊びに来ていた。こちらは500が2代目(ヌォーヴァ500)となった1957年から間もない時期の希少なレアモデルだ。14年前にチンクエチェント博物館から購入し、北海道や岡山、岩手などへ遠征してラリーイベントに参加しているとのこと。
ほとんどノーマル状態の初期型フィアット500と、レースシーンのため高性能化を重ねたハイチューンド仕様のアバルト595SS。並べてみると変更点の多さが面白い一方、小さくて可愛らしい姿でがんばって走る雰囲気には、やはり相通ずるものがあるのだった。