世界一美しいと称されたクーペ
1977年に発売された当時のBMWのフラッグシップ・クーペである「6シリーズ」(E24型)。この世界一美しいクーペと形容される流麗なスタイリングは現在も高い評価を得ているが、中でも1978年に発売された「635CSi」は、そのトップに君臨するモデルである。
「M1」のエンジンを搭載した6シリーズ
エンジンはほぼ同時期のM1同様のM88型の3.5L直6を搭載しており、人々がクーペに求める「美しくて速い」、を体現しているものだから、その魅力の高さといったら当時は凄いものがあった。
また、日本などでは「M6」の名で売られたことも重要だろう(日本で最初のMだ)。1000万円以上の左ハンドルMT車だけに販売台数は限られるだろうが(635CSiAなどはATのみ)、並行物の635CSiは、首都圏では見かけることができただけに、やはり人気は高かったといえる。
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そんな635CSiだが、実はサーキットで戦うことも求められていた。
当時のヨーロッパのツーリングカー・レース(ETCC:グループA)に参戦した635CSiは、1983年にはチャンピオンに、1984年には2位にランクインするなど大活躍。ライバルがターボで武装するなか高回転型NAで戦う635CSiは、直線では負けるもののコーナーで勝負。
その戦いぶりもあってBMWファンの拡大に大いに貢献した。また、日本でもインターテックなどで活躍したことを思い出すという方も多いだろう。
歴史の生き証人は2500万円弱で落札
635CSiのレース仕様がパリからサザビーのオークションに出品されて、17万2500ユーロ(邦貨換算約2440万円)で落札された。
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この車両は、オーストリアのアマチュアドライバーに納車されたものであり(スポンサーがバウハウス)、数々のレースに参戦。1986年のスパ24時間にも出走したことが確認されている。また2014年と2019年にモータースポーツのスペシャリストの手によって復元されており、50台程度しか作られなかったという635CSiのグループA車両として現存する貴重な存在となっている。
スーパーGTとなって久しい昨今、それ以前のグループAはもはや歴史だろう。しかし黎明期のグループAで、日本でも1985年にタイトルを獲得した635CSiは歴史の証人だ。