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トヨタ「2000GT」誕生のきっかけは「日本グランプリ」でした! 少数精鋭で挑んだ開発秘話とは?【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/日本自動車工業会/AMW編集部

2台だけ製作されたオープンモデルは「007シリーズ」のボンドカーに抜擢

シミュレーションテストは3回行っていたが、エンジンや駆動系にトラブルが出て、途中で走行を断念。不安を抱えたままの1966年10月1日、本番は安定したタイムで周回を重ねた。途中、台風の強風と雨に見舞われたが、後半は尻上がりに調子を上げ、3昼夜を無事に走りきっている。

トヨタ2000GTは72時間を平均速度206.02km/hで走りきり、世界記録を更新。78時間を経過したときに走行距離は1万マイルに達し、平均速度は206.18km/h。これは日本車として初のFIA公認記録である。トヨタ2000GTは3つの世界記録という偉業と13のスポーツ法典Eクラス(排気量1.6L〜2L)の国際記録を樹立した。

トヨタ2000GTは、1967年公開の人気のアクション映画『007は二度死ぬ』にも登場している。日本が舞台だったのでボンドカーに抜擢されたのだが、撮影間際になり、主人公ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)の顔が見えないのでオープンにしてほしい、と告げられたのである。そこでレース車両や特殊車両を製作しているトヨペット・サービスセンターの綱島工場でルーフをきれいにカットした。

オープンのトヨタ2000GTは2台が製作され、1台は撮影終了後に富士スピードウェイのマーシャルカーになっている。映画を観たファンからはロードスターを市販してほしい、という声も多かったようだが、これは実現しなかった。

高速走行時に剛性不足だったリトラクタブルヘッドライトは改良され、200km/hの速度域でエアロパーツを必要としない直進性のよさも確認されている。エンジンも5速MTも信頼性が高まった。

気品のあるピアノ材のローズウッドをダッシュボードに採用

プロトタイプの信頼性に自信を深めたトヨタの首脳陣は、正式発売に向けて動き出す。発表会が開催されたのは1967年5月。型式「MF10」が与えられ、美しいフォルムに変更なく発売された。販売価格はクラウンの約2倍の238万円だった。

3M型直列6気筒DOHCは3基のソレックス・ツインチョーク40PHHキャブを装着し、最高出力150ps/6600rpm、最大トルク18.0kgm/5000rpmを発生する。最高速度は220km/h、連続最高速度は205km/hだ。0-400m加速は15.9秒とされた。制動能力にもこだわり、ブレーキは日本車初の4輪ディスクである。

最後まで難航したインテリアは、美しいまとまりを見せていた。ダッシュボードに並ぶ7つのメーターパネルやセンターコンソールなどの化粧板は、ヤマハ系列の日本楽器のものだ。クラフトマンシップが感じられる、ピアノ材の美しいローズウッドを使用している。時計の右隣にはストップウォッチを組み込んだ。パーキングブレーキはスマートなステッキタイプを採用する。

1969年8月、商品性向上と北米の新安全基準に適合させるための改良を行った。フロントマスクを洗練させ、バンパー下のウインカーランプやリアのリフレクターも大きくなっている。弱点だったリトラクタブルヘッドライトも、モーターを替えて昇降時間を大幅に短縮。5速MTはギヤ比を変更し、トヨグライドと呼ぶ3速ATも登場させた。

インテリアではウッドパネルとステアリングの材質を変え、耐候性を高めたことが注目点だ。オーディオと時計のレイアウトとデザインも変更している。また、バケットシートにはヘッドレストを追加し、快適なクーラーも選べるようにした。

これが最後の仕様変更で、1970年に惜しまれつつ生産を終了した。北米向けにSOHCエンジンの2300GTも試作されたが、これは未完に終わっている。生産台数わずか330台あまりの珠玉のスポーツカー、それがトヨタ2000GTだ。

トヨタ2000GT(MF10前期型)
●年式:1967年
●全長×全幅×全高:4175mm×1600mm×1160mm
●ホイールベース:2330mm
●車両重量:1120kg
●エンジン:3M型直列6気筒DOHC
●総排気量:1988cc
●最高出力:150ps/6600rpm
●最大トルク:18.0kgm/5000rpm
●変速機:5速MT
●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/ダブルウィッシュボーン
●ブレーキ(前/後):ディスク/ディスク
●タイヤ:165HR15
●新車当時価格:238万円(東京)

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  • 2000GTのフロントマスク
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