オークション・シーンに姿を見せることが少ないシロン
そのシロンがオークション・シーンに姿を現すことはそう多くはない。2023年のRMサザビーズ社が開催したアメリア・アイランド・オークションに出品されたのは、2019年に82台が生産されたモデルの中の一台。デリバリー地はアメリカのミシガン州トロイで、以来ワンオーナーで1万4592km(カタログ製作時)を走行している。
同車の魅力は、何といってもその優美なカラーリングにある。エクステリアはノクターン仕様で、フロントエンドの馬蹄形グリルの周囲にはスピリットブルーのアクセントカラーが入る。カラーはそのままAピラーから上方に向かって伸び、ルーフラインのカーブに沿ってドアの後方からロッカーパネルに向かって急降下する彫刻的なシグネチャーラインにまで流れ、ブラックのホイールなどとともにエレガントなエクステリアカラースキームを完成させているのだ。インテリアはベルーガブラックのレザーとアルカンターラに、スプリットブルーのステッチを施したもので仕上げられている。
今回は落札ならず
出品車のシロンに残るサービス記録からは、2020年から、2021年、2022年と、トータルで3万ドル以上の費用が投じられていることも記録されている。限られた生産台数と購入希望者のキャンセル待ちによって、ブガッティ シロンを手に入れることは簡単なことではないだろう。
今回のオークションでは280万ドル(約3億6960万円)まで入札価格は上がったものの、残念ながら出品車の希望落札価格には届かなかったようだ。RMサザビーズでは現在でもシロンを、価格応相談として販売している。ちなみに新車での購入時に出品車のために支払った金額は、全オプション込みで305万8500ドル(当時のレートで約3億3032万円)だったというのだが……。