懐かしのミレニアムVIPカスタム
2000年代前半のVIPカーを意識して当時物のパーツこだわって製作したというY32「セドリック」乗りの“こしょー”さん。全体の作りは当時流行ったパーツにプラスαのリメイクを加え、機能パーツは最新モデルを積極的に使うカスタムを楽しんでいた。
現代のドレスアップテクニックも融合
ひと口にVIP系カスタムといっても、そのスタイルは様々だ。古いクルマをベースに最新モデルに寄せたカスタムもあれば、現行モデルをベースにVIP仕様としてインパクトを高めるカスタムを施すケースもある。また、中にはベース車不明感を出す突き抜けたVIPカーを作り出すオーナーも存在している。
いろいろなスタイルがあり、それを披露する場としてドレスアップコンテストといったイベントがある。そうした、カスタム好きが集まり、それぞれの理想を求めて製作したクルマを評価される環境が整っていることが、VIPカーの世界をより面白くしてくれている。
今回紹介する“こしょー”さんも全国のドレスアップカーイベントを巡っている強者だ。彼が目指すVIPスタイルは、ベース車として選んだY32セドリックが一番輝いていた時代の仕様を再現すること。そして、ただ再現するだけでは面白くないので、そこに現代のドレスアップを融合させるテーマも盛り込んでいる。
往年の仕様として選んだ外装パーツは、当時の定番ジャンクションプロデュースのフルバンパーだった。だが、キット物をそのまま使うのはフツーすぎるので、より迫力を出すためにリップを厚めに設定し、張り出し量も増す工夫を施している。
サイドについては、オーバーフェンダーを鉄板溶接で製作し、純正アーチに沿って鋭いエッジを付けて強調。タイヤとフェンダーのクリアランスを追求し、車高を落としても絶妙なアングルで当たらずにかわせるように作り込んでいる。
また、リアバンパーについてはワンオフで、リウイングはパテ埋めによって処理。あえて飾らずにシンプルに主張させた点が当時風リメイクといった感じだ。
インテリアは今風のアレンジ
一方、インテリアについては完全に現代カスタム仕上げとなっている。ボディ色の見方によっては渋いカメリアレッドパールとは対照的に、ホワイト+オレンジを組み合わせた明るいコーディネイトで猛アピール。ダッシュボードはもちろん、シート、ステアリング、ドアパネル等、すべて張り替えている。
現代カスタムとの融合という面では、トランクに収める魅せるオーディオシステムもそれに当てはまる。システム構成は、アンプがロックフォードT400、DIECOCK3000、スピーカーがロックフォード+15インチミッドスピーカーを搭載し、LEDチューブ管や5連モニターも追加して飾っている。
当時ならではの風格のあるスタイルはそのままに、サスペンション等は上げ下げ自在のエアサス仕様にして、内装は魅せるオーディオカーとして現代風に作り込む。このギャップが実に面白い。
このスタイルは、当時、ハイソなクルマのドレスアップを経験した人にとっては憧れたに違いない仕様で、懐かしく感じることだろう。
“こしょー”さん製作のY32セドリックは、ベース車として懐かしさだけではなく、仕様としても懐かしいオジサン好みのVIPセダンに仕上がっているといえるだろう。