今年のスーパーGTも注目株がたくさん
世界中に蔓延した新型コロナウイルスも少々落ち着いてきた2023年、すでに開幕したスーパー耐久や岡山でのスーパーGT公式テストを見た限りではあるが、レース界もまた以前のような賑わいを取り戻しつつある模様で、なんともありがたいことでございます。
そんなわけで、今年も個人的興味で独断と偏見に満ちたスーパーGTの注目どころを紹介します。毎年のことですが、クレームは一切受け付けませんのでよろしくお願いいたします。
GT300は海外ワークス出身やe-sport経験者に女性ドライバーと注目株目白押し
まずGT300で注目してほしいのが、ゼッケン7のBMW Team StudieにBMWワークスから送られた刺客、ブルーノ・スペングラーだ。彼は2005年、DTMにメルセデスからデビューし、2011年までHWAのいわゆるワークスドライバーとして活躍したが、2012年にBMWに移籍。Team Schnitzerとともにチャンピオンを獲得した凄腕ドライバーだ。
相棒は「世界の荒」と豪華なラインナップで挑む2023年シーズンなのだが、BMWの都合でフル参戦とはならなかったのが少々残念である。ではブルーノが来れないレースには誰が乗るのかと思ったら、これまたビックリの柳田真孝という通好みの人選。GT300の目玉として大活躍してくれると思う。
そして今度はStudieとは真逆と言っていいと思うのが、ゼッケン50のANEST IWATA Racing RC F GT3だ。スポンサーであるアネスト岩田のステートメントである「No Theory. 夢ある無謀を。」を具現化したようなドライバーラインナップである。
まずAドライバーは日本生まれの日系ブラジル人のイゴール・オオムラ・フラガ。彼は3歳からカートを始め国内で7つのタイトルを獲得し、2008年にはアジアカーティングオープンでチャンピオン、2017年ブラジルF3チャンピオンと輝かしい経歴がまだまだあるが、ここでは割愛。
2018年にはFIAグランツーリスモ・チャンピオンシップ個人戦で初代ワールドチャンピオン、2019年と2021年は同大会のマニュファクチャラーシリーズでもワールドタイトルを獲得した、今流行りの二刀流ドライバーだ。
Bドラの古谷悠河は2021年フォーミュラ・リージョナルチャンピオン。2022年はフォーミュラー・ライツにステップアップと今勢いのある若手有望株である。そしてCドラの小山美姫は2015年FIA F4デビュー。2019年に女性限定のフォーミュラーシリーズであるWシリーズに参戦したほか、2022年はフォーミュラ・リージョナルJで史上初の女性チャンピオンとなった、悪い言い方をするとジャジャ馬ちゃんである。
となんだか一生懸命経歴を割愛しようと思っても、この若い衆たちときたら経歴が多すぎるので、細かいことを知りたい方はご自身で調べて下さい。そんなわけでこの若い衆たちが百戦錬磨のドライバーたちにどう立ち向かい、どう成長していくのかが楽しみだと思ってしまったのは、私がジジイになったからだろう。
GT500は大型移籍など話題がたくさん
GT500で注目したのはゼッケン17のAstemo REAL RACINGだ。今年もリアルひと筋14年の塚越広大と2年目の松下信治というコンビに変わりない。昨年はその松下の加入で注目と書いたが、チームとしては確かにそれなりの活躍を見せ、最終戦までチャンピオンの可能性があった。だがシーズン中のちょっとしたことで落としたポイントが響き、もったいないとしか言いようがないシーズンとなってしまった。
だが今年はチームがスーパーGTに参戦して17年目。これまでの16年間で何度となくあった手が届きそうで届かなかった「アレ」を、「17年目の17号車」には是が非でも取りにいってもらいたい。
今シーズンはホンダからトヨタへ電撃移籍し、ゼッケン37のTGR TEAM Doloitte TOM’S GRスープラに乗る笹原右京にも注目である。彼は物静かではあるが、いざレーシングカーに乗ると走りはまるで別人のようになるのは、2013年から参戦していた海外でのフォーミュラー・ルノー時代の経験があったからなのかもしれない。その右京の相棒にはジュリアーノ・アレジ。この移籍でふたりに何かしらの良い化学変化が起こり、シーズンを揺るがす存在になってほしいものである。
新型車が登場するなどマシンにも話題あり
注目車両としては、長年にわたりトヨタ プリウスでGT参戦を続けてきたaprが、今シーズンよりレクサスLC500hを投入する。プリウスに比べ空力が圧倒的に向上したボディと、これまで培ってきたレーシングハイブリッドシステムを武器にどのような活躍をするのか期待大だ。
こちらは車両自体ではないが、ARTAとチーム無限のコラボ(?)と言ったらいいのだろうか、ARTAのメンテナンスがM-TECに変わったことにより、2台のオートバックスカラーのGT500マシンが出現。ドライバーは8号車に野尻智紀と大湯都史樹、16号車に福住仁嶺と大津弘樹という必勝体制のラインナップである。どう見てもチーム内でバチバチになるのは必然。相打ちだけはしないで頂戴ね。