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走行距離99万9997キロだけど未使用車!? バブル時代のBMWのカルトカー「Z1」はバリ物で1200万円オーバー!

走行距離99万9997キロだけど未使用車!? バブル時代のBMWのカルトカー「Z1」はバリ物で1200万円オーバー!

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Sotheby's

Zシリーズのオリジン

現在の「Z4」に繋がるご先祖様、それが「Z1」だ。E30/Z型となるこのZ1は、過去のBMW「328」や「507」(Z8のご先祖)の志を受け継ぐオープンとして、1986年に初公開。当初はスタディモデルだったと言われているが、1987年のフランクフルトショーではすでに市販化に向けて動き出しており、当時冬の時代だったライトウェイト・オープンを復活させようとしていたことが解る。

文字通りZ1は未来を指し示すクルマだった

Zとは、「Zukunft(ドイツ語で未来を表す)」意味で、現在のSAV(X5など)& SAC(X6など)のX(クロスオーバー)シリーズ同様に、基本とされてきたセダン、ツーリング(ワゴン)、クーペ、オープン(クーペベースの屋根空き)以外はこうした印象付ける記号が付けられるようになった一例である(別会社であるM社が創ったモデルがM1/M3のようなケースもある)。

そしてよくあるユーノス・ロードスター登場後の後追いモデルと勘違いされるが、どちらかと言えばそれは初代Z3(こちらもE30型というかE36型コンパクト、tiベース)であり、Z1はユーノス・ロードスターよりも前に開発されたモデルだ。BMWにしてみればZ3はZ1の正統な後継車というのだろうが、Z1は限定生産モデルなので(おそらくユーノス・ロードスターが大ヒットしたことに驚いたのだろう)Z3はZ1の後継であり、ユーノス・ロードスターに触発されたという両面が正解なのかもしれない。

話をZ1に戻すと、デザインは当時のチーフ・デザイナーであるハーム・ラガイーの指揮のもとに行なわれて、極端にフラットなラジエーター・グリルと、落ち込むボンネットが特徴。伝説のM1の流れも感じさせる。

そしてベースとなるのは日本でもBMWに親しみをもたらしたE30型(3シリーズ)であるが、3シリーズとの類似性は少ない。それはZ1の独創的デザインと、8000台限定のロードスターゆえに手作業で製造されていることなど。

BMW Z1は、プロトタイプの開発と製造の両方がBMWテクニック(1972年に設立されたBMWモータースポーツ:後のMから1979年に独立。現在、この工場はグループのディーゼル技術コンピテンス・センターに、研究機関はミュンヘンに集約)によって行なわれた唯一の車両であり、いくつかの技術革新があり、特徴的なのはサイド・スカートに向かって低くなるドアだ。

ヒンジ式でもシザースでもガルウィングでもなくて、ドア本体がボディ内部に下向きに引き込まれるという極めて特異な構造となっている。乗り降りはドアを開くのではなくて、下げて乗り降りするという形状。

この構造は黎明期のオープンカーに見られた脱着式の金属製や布製のドアに着想を得ており、一見不便そうに見えるが、実は屋根を開けた状態だと乗り降りは非常に楽で、BMWが2ドアオープンを真面目に考えて作ったことが感じられる。

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