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ホンダ「Sシリーズ」は宗一郎の情熱のカタマリ! 「S800」へと続く進化を解説します【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/日本自動車工業会/Auto Messe Web編集部

マーケットの要望に応えてパワーアップさせ足まわりや内外装の意匠も刷新した

1965年秋の第12回全日本自動車ショーのホンダブースは、例年になく華やかだった。最大のニュースは、モアパワーの要望に応え、さらに排気量を拡大したS800を参考出品したことである。エンジンは発展型のAS800E型DOHCだ。

ボアを60.0mmまで広げ、ストロークは70.0mmまで延ばした。排気量は791ccとなっている。バルブ径もAS285E型エンジンより大きい。圧縮比は9.2だ。CVキャブを4基装着しての最高出力は70ps/8000rpmに、最大トルクは6.7kgm/6000rpmまで引き上げられている。トランスミッションは待望のフルシンクロとなった4速マニュアルだ。渋滞した道路でも扱いやすい。最高速度は、ついに160km/hに到達した。

フロントマスクは精悍なブラックを基調にクロームで縁取りしたデザインに変更され、Hマークが中央に誇らしげに付いている。その脇のウインカーランプも洗練されたデザインに変わった。また、ヘッドライトまわりやリアコンビネーションランプも新しいデザインだ。ボンネットの視界の先には、コブのようなパワーバルジが加わっている。

S800は年が明けるとすぐに正式発売に移されている。S600と同様に、ボディタイプはロードスターとルーフを備えたクーペの2タイプだ。そして1966年5月以降のSシリーズはリアサスペンションを刷新した。チェーンに代えてリアアクスルシャフトを回転させ、直接、動力を伝達する5リンク式のリジッドアクスルに改めたのである。

最後の化粧直しは1968年5月だ。バリエーションをオープンのS800Mだけに絞り、外板にリフレクターを加えるとともにインパネ全面をソフトパッドで覆った。また、住友製のディスクブレーキを前輪に装備する。タイヤは145SR13サイズのラジアルタイヤだ。本田宗一郎の情熱がほとばしるライトウエイトスポーツの傑作がSシリーズである。

S500(AS280)
●年式:1963
●全長×全幅×全高:3300mm×1430mm×1200mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:675kg
●エンジン:AS280E型直列4気筒DOHC
●総排気量:531cc
●最高出力:44ps/8000rpm
●最大トルク:4.6kgm/4500rpm
●変速機:4速MT
●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/トレーリングアーム(チェーンドライブ)
●ブレーキ(前/後):リーディングトレーリング/リーディングトレーリング
●タイヤ:5.20-13 4PR

S600(AS285)
●年式:1964
●全長×全幅×全高:3300mm×1400mm×1200mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:725kg
●エンジン:AS285E型直列4気筒DOHC
●総排気量:606cc
●最高出力:57ps/8500rpm
●最大トルク:5.2kgm/5500rpm
●変速機:4速MT
●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/トレーリングアーム(チェーンドライブ)
●ブレーキ(前/後):リーディングトレーリング/リーディングトレーリング
●タイヤ:5.20-13-4PR

S800 M(AS800)
●年式:1968
●全長×全幅×全高:3335mm×1400mm×1215mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:755kg
●エンジン:AS800E型直列4気筒DOHC
●総排気量:791cc
●最大出力:70ps/8000rpm
●最大トルク:6.7kgm/6000rpm
●変速機:フルシンク4速MT
●サスペンション(前/後):ダブルウイッシュボーン/5リンク・リジッドアクスル
●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ:145SR13

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