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いすゞ「117クーペ」はジウジアーロがデザインし「唐獅子マーク」を懇願! 芸術的クーペの魅力を再発見【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/日本自動車工業会/Auto Messe Web編集部

高級素材と卓越したデザインによるエレガントな外装に相応しいインテリア

117クーペのもうひとつの魅力、それはトラディッショナルな大人のインテリアだ。広がり感のあるT字型のダッシュボードを採用し、ドライバーの前には高級なウッドの化粧パネルが全面に張り込まれている。

初期モデルの化粧パネルは、当時12万円と言われた高価な台湾産の楠材だ。そこに時計を含む7つの丸型メーターとスイッチ類を散りばめた。ステアリングとシフトノブにも厳選したウッド材を使っている。ちなみにホーンボタンにはフロントグリルに採用したものと同じデザインの唐獅子マークを組み込んだ。この唐獅子はジウジアーロが気に入り、採用を懇願したものである。

ブラックアウトされたセンターコンソールには空調コントロールスイッチやラジオ、灰皿などが整然と並び、キャビンは2+2レイアウトで乗車定員は4名だ。ブラックの精悍な色調で、フロントシートはヘッドレスト付きのバケットタイプをおごっている。スポーティなデザインで、スライドとリクライニングも調整しやすいためベストなドライビングポジションを取りやすい。手を下ろすと自然とシフトノブに手が届く。

リアシートは2人がけで、当時としては珍しいヘッドレスト付きだ。また、2点式のシートベルトは自動巻き取り機構を備えている。しかも3段階にリクライニングでき、シートをたたむとトランクスルーになっていて荷物を簡単に出し入れできる。高級スポーツクーペにふさわしい、贅を尽くしたキャビンだった。

ただし、乗り味は意外にも無骨だ。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーンとコイルスプリング、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルとした。フロントに採用したド・カルボン式ショックアブソーバーは、1969年秋にリアにも採用されている。ブレーキはフロントがサーボ付きディスクだ。

多くの作業工程を職人の手に委ねていた117クーペは、1973年に機械を導入して量産化を実現した。エクステリアを手直しし、エンジンは1.8Lになる。1977年には角形ヘッドライトを採用し、1981年まで販売が続けられた。今も強いオーラを放っている名作が117クーペだ。

117クーペ EC(PA90)
●年式:1970
●全長×全幅×全高:4280mm×1600mm×1320mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1090kg
●エンジン:G161WE型直列4気筒DOHC
●総排気量:1584cc
●最高出力:130ps/6600rpm
●最大トルク:15.0kgm/5000rpm
●変速機:4速MT
●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン・コイル/リジッド・リーフスプリング
●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ:6.45-14-4PR

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