「NSXオーナーズデイ」には固定式ヘッドライトの2004年式で参加
30年間続いたNSXフィエスタが惜しまれつつ2022年で終了したのを受け、全国のNSXオーナーたちが中心となり、オーナーによるオーナーのためのNSXイベントを企画し実現したのが、2023年3月12日に鈴鹿で開催された「NSXオーナーズデイ」だ。2004年式「NSX」で参加していたオーナーに話を伺うと、じつはNSX2台持ちという充実したカーライフを満喫しているのだった。
セナに憧れ、ル・マンでホンダ車のファンに
「最初にクルマが好きになったキッカケが、アイルトン・セナなんですよ」。
そう語るのは、2004年式ホンダ「NSX」オーナーの石井徳幸さんだ。
「5歳くらいのときかな、鈴鹿のシケインでぶつかったあのときから好きで。F1が好きだったんで、逆に普通のクルマって全然知らなかったんですよ。セナが事故で亡くなってしまった時点でF1には興味をなくしたんですけど、ル・マンに土屋圭市さんと高橋国光さんがNSXで出ていた本をなぜか持っていて、それを見たときに衝撃が走ったんです、なんだこのカッコいいクルマは! って。それからホンダの市販車に興味をもち始めて、最初にインテグラのタイプRを買ってひと通り走ってサーキットとかも行くようになって、クルマの仕事もするようになったんです」
後悔しないために思い切ってNSXを購入
クルマの仕事をするようになり、国産車から輸入車までさまざまなクルマに乗ったそうだが、つねに頭の中にあったNSXを購入するタイミングはなく、時が過ぎていったという。輸入車の性能もある程度まで行きつき、乗っていても楽しさを感じられなくなった石井さんは、クルマの仕事を辞めて家業を引きついだ数年後にNSX購入を決意した。
「新車より高い値段になってたんですけど、一番、乗りたかったクルマなんで後悔すると思って。最初に乗り込んだときはシートのポジションがすごく低くてスーパーカーって感じでした。あとはエンジン音ですね。排気音じゃなくてエンジンの音。耳はもちろん五感に響く良い音がしてくれるんですよ」
前期と後期の2台体制でNSXを楽しむ
石井さんがヘッドライト固定式のNSXを選択したのは、じつはその前からリトラクタブルライトのNSXを友人から譲り受ける話があったから。実際そのクルマは現在石井さんの手元にあり、2台のNSXをそれぞれに楽しんでいるそうだ。
「この時代のクルマは電子制御もなく、良くも悪くもクルマの素性とドライバー次第なんで、そういう意味でもうちょっとうまくならなければって認識させられました。他にS2000も持っていて、前期と最終型でボディの剛性がまるっきり違う感じがしたんですが、NSXに関してはアルミボディだからか一切そういう感じはないです。2台とも旧さを一切感じないですね。ただ、メーターの走行距離計が昔ながらの巻くタイプで、ラジオのアンテナがビヨーンって伸びるとか、装備の面での懐かしさはありますが(笑)」
今後に関しては、絶対的な性能に関してはいくらお金をかけても現代のクルマにはかなわないので、ゴム類など劣化している部分をリフレッシュしながら長く乗り続けたいという石井さん。2004年式のこのNSXはATということもありノーマルのままで、リトラクタブル式のNSXの方はマフラーなども交換してあるそうで、それぞれにNSXを楽しんでいくことになりそうだ。