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昭和のトヨタ初代「セリカ」がスペシャルティカーという概念を作った! 「フルチョイスシステム」も新鮮でした【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 木村博道/日本自動車工業会/AUTO MESSE WEB編集部

OHVエンジンをヤマハがDOHC化しレースではターボ仕様が大暴れした

セリカは同時にデビューした「カリーナ」と兄弟関係にあり、メカニズムの多くは共通だ。パワーユニットもサスペンションも基本設計は同じである。サスペンションは、フロントがストラット&コイル、リアは4リンク・ラテラルロッド&コイルとした。基本的な設計は同じだが、カリーナより足を引き締め、スポーティ感を強調している。

デビュー時は、4機種の直列4気筒エンジンを用意した。新世代OHVは、排気量1407ccのT型、1588ccの2T型と2T-B型だ。パッションエンジンのニックネームで呼ばれ、燃焼室形状は効率のよい半球形、吸・排気系はV型バルブ配置という、クロスフローとした。

フラッグシップは、ヤマハ発動機がヘッドまわりをDOHC化した2T-G型直列4気筒エンジンを積む1600GTだ。シリンダーブロックは鋳鉄製のディープスカートタイプ。シリンダーヘッドはアルミ合金製で、半球形燃焼室の真上に点火プラグを配している。

クロスフローの吸・排気システムを採用し、クランクシャフトは回転バランスに優れた4バランスウエイトで、5ベアリング支持としている。カムシャフトの駆動は2ステージのダブルローラーチェーンだ。ソレックス40PHHキャブレターを2連装し、115ps/14.5kgmを発生する。後に圧縮比を下げ、バルブリセッション対策を施したレギュラーガソリン仕様も加わっている。

セリカLB2000GTに搭載された18R-G型直列4気筒DOHCは、8R型のボアを広げ、排気量を1968ccにしたエンジンだ。こちらも半球形燃焼室を備え、燃料供給はソレックス40PHHキャブを2連装した。プレミアムガソリン仕様は圧縮比9.4で、145ps/18.0kgmを発生する。

セリカ1600GTはツーリングカーレースで暴れ回り、1973年の富士1000kmレースではターボ装着のプロトタイプ、LBターボが堂々の優勝を飾っている。シルエットフォーミュラでの活躍も話題をまいた。

コクピットと称するに相応しい5つのメーターが並ぶダッシュボードレイアウト

セリカのインテリアは、エクステリアと調和するようにメーターパネルをなだらかな山型とし、パネルのなかに大小のメーターを並べている。

ドライバーの前には大径のスピードメーターとタコメーターを配し、助手席側に3つの補助メーターを並べた。ステアリングは3本スポークが基本だ。リフトバックには4本スポークタイプが与えられている。

1600GTのインテリアは1種類だが、ET、LT、STの3グレードはフルチョイスシステムを採用していたこともあり8種類のインパネを用意している。流行り出した吊り下げ式のクーラーも選択可能だった。

ファンを増やしたセリカは、1972年8月にマイナーチェンジを行った。リアガーニッシュに隠されていたフューエルキャップがリアクオーターピラーに移され(リフトバックは変更なし)、リアコンビランプもワンテールと呼ばれる赤一色からウインカーの黄色レンズが加わった2分割テールに変更されている。ボディカラーに新色が加わり、カラーバンパーがオプション設定されたのもこのときだ。

ハードサスペンションを採用し、グリップ性能の高い185/70HR13ラジアルタイヤやバリアブルレシオのステアリングギア、油温計を装備した1600GTVも誕生した。

リフトバックを加えてからも積極的に改良とバリエーション追加に励んだ。時代に先駆けて電子制御燃料噴射装置のEFI装着車も送り出される。

セリカが大きく変わるのは1975年10月だ。厳しくなる排ガス規制に備えてボディサイズを大きくし、熱がこもらないようにエンジンルームを拡大し、ホイールベースは70mm延長している。また、5マイルバンパーと呼ばれる大型の衝撃吸収バンパーを装着するフェイスリフトを行い新鮮味を取り戻した。

「兄弟」とは言いつつも、ゴツゴツとした直線的なデザインのカリーナとは対象的に、セリカはやわらかく曲線的なイメージである。パーソナルクーペの新しい姿を提案した意欲的な作品、それが初代セリカとセリカ・リフトバックだ。

セリカ1600GT(TA22)
●年式:1971
●全長×全幅×全高:4165mm×1600mm×1310mm
●ホイールベース:2425mm
●車両重量:940kg
●エンジン:2T-G型直列4気筒DOHC
●総排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●変速機:5速MT
●サスペンション(前/後):ストラット・コイル/ラテラルロッド付き4リンク・コイル
●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ:6.45H-13-4PR

セリカリフトバック2000GT(RA25)
●年式:1973
●全長×全幅×全高:4215mm×1620mm×1280mm
●ホイールベース:2425mm
●車両重量:1040kg
●エンジン:18R-G型直列4気筒DOHC
●総排気量:1968cc
●最高出力:145ps/6400rpm
●最大トルク:18.0kgm/5200rpm
●変速機:5速MT
●サスペンション(前/後):ストラット・コイル/ラテラルロッド付き4リンク・コイル
●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ:185/70HR13

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