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「フェアレディZ432」には「A級ライセンス」を持ってないと買えないモデルもあった! 日産本気のクルマづくりとは?【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 堤 晋一/芝 修/一般社団法人自動車工業会/AutoMesseWeb編集部

  • Z432のフロントマスク

  • Z432のフロントマスク

日産最強のS20型直6DOHC4バルブエンジンを搭載

究極のフェアレディとして与えられた「Z」の称号。人々を魅了するクーペスタイルは、快適性と安全性の観点から次なる時代を先見し創られた。登場時から世界のスポーツカー市場を震撼させた性能と価格。9年にわたるモデルライフで累計販売台数54万台という金字塔を打ち立てたのである。

多くの確執がありながらも選んだレーシングエンジン直系のパワーユニット

スポーツカーの歴史を大きく変え、世界を驚かせた名車がフェアレディZである。鮮烈なデビューを飾ったのは1969(昭和44)年10月だ。初代「S30」は、発売すぐにセンセーションを巻き起こした。車名末尾の「Z」とは、究極のフェアレディであることを意味している。

搭載エンジンは、2種類の直列6気筒SOHCユニットを設定。国内仕様は税制面で有利な2LのL20型、海外仕様のダットサン240Zには2.4LのL24型を搭載した。

ボディは、軽量で高い剛性を誇るモノコック構造を採用し、フォルムもロングノーズにショートデッキの流麗なファストバッククーペとした。クローズドボディだから天候に関わらず快適性は高い。ロングランの高速走行も余裕でこなす。

フラッグシップは「PS30」の型式を与えられたZ432。搭載するのは、PGC10型スカイライン2000GT-Rから譲り受けたS20型直列6気筒DOHC4バルブユニットだ。当初は、横浜市鶴見区に本拠を置く日産のエンジン設計部が高性能ユニットを開発するはずだった。この計画は頓挫したが、高性能にこだわる川又克二社長はS20型エンジンの搭載を切望したのである。多くの確執があった。だが、トップダウンによって旧プリンス系のS20型エンジンを積むフェアレディZが誕生することになったのである。

S20型エンジンは、レーシングエンジン直系の精緻なパワーユニットだ。多球形燃焼室や日本初の吸・排気4バルブ、7ベアリング支持のクランクシャフトなどの設計は、ニッサンR380が積むレーシングエンジン、GR8型から受け継いだものである。ただし、メンテナンス性を高めるためカムシャフトの駆動はダブルローラーチェーンに、オイル潤滑はドライサンプではなくウエットサンプ式に変更している。

ボア82.0mm、ストローク62.8mmの6気筒エンジンだから総排気量は1989ccだ。燃料供給はミクニが内製化したソレックスN 40PHHキャブレターで、これを3基装着している。プレミアムガソリン仕様の圧縮比は9.5だ。最高出力は160ps/7000rpm、最大トルクも18.0kgm/5600rpmと、GT-Rのエンジンと変わっていない。もちろん、当時の2Lエンジンとして最強スペックだ。

Z432のグレード名は、この4バルブ、3連キャブレター、ツインカムを表している。 トランスミッションは、SP&SR311と呼ばれた時代のフェアレディから採用しているポルシェタイプのフルシンクロ・マニュアルが選ばれた。温めたナイフでバターを切ったときの感触、と言われる独特のシフトフィーリングが特徴だ。運転に慣れてくると狙ったギアに気持ちよく入れることができる。

エンジンパワーを引き出しやすい5速MTで、オプションで異なるギア比も用意された。エキゾースト系の取り回しが違うためかエンジン音はGT-Rと微妙に異なる。

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