デザインはムーンクラフトの由良拓也が担当
ボディデザインは日本を代表する空力デザイナー、ムーンクラフトの由良拓也が担当。オートバイメーカーのヤマハらしく、運転席と助手席が縦二列、タンデムに並ぶのが最大の特徴だ。シャシーの主要部にはCFRP+ケブラーを使い、エクステリアはアルミとFRPの組み合わせ。イギリスの熟練工によるハンドメイドで、ウイングと一体となったフロントカウルと、本格的なリアディフューザーで、エアロダイナミクス的にはレーシングカーに見劣りしない性能を秘めている(1983年のル・マン24時間で初のクラス優勝を果たした、由良拓也氏デザインのマツダ717Cに通じるスタイルだ)。
サスペンションは、前後とも長いサスアームを使ったプッシュロッド式のダブルウィッシュボーンで、これもまたフォーミュラカーそのもの。
世界的な経済変動の影響を受け販売を断念
CFRP製モノコックで、運転席をセンターに配置。NAのV12気筒エンジンをミッドシップに載せた空力マシンと、マクラーレンF1と共通項も多いヤマハOX99-11。1992年に発表され、予価100万ドル(約1億3000万円)で1994年にデリバリー開始とアナウンスされたが、バブル崩壊、ヤマハの業績悪化、世界的な経済変動の影響を受け、1993年に販売を断念……。
それでも3台が現存し、今でもヤマハが動態保存している。ヤマハの袋井テストコースで行われる「ヤマハ歴史車両デモ走行・見学会」で走らせたこともある。ちなみにマクラーレンF1は1992年に発表され、初号機のデリバリーは1994年の12月。新車価格は53万ポンド(約1億1800万円)だった。
ヤマハOX99-11も発売まで漕ぎ着けることができれば、マクラーレンF1に匹敵する「ロードゴーイングF1」と評価され、好敵手になったはず。計画が頓挫してしまったのは残念でならない。