テンロクツインカム16バルブの4A-GEUエンジンがアツかった
一方でエンジンの話もしないわけにはいかない。レビン/トレノはもともとDOHCエンジン搭載車の呼称だったが、この世代からはよりユーザーへの間口を広げる目的で、1.5LのSOHC(3A-U型)も合わせて設定された(AE85型)。
と同時にDOHCエンジンについては、1970年10月デビューのセリカ1600GTに搭載されて以来の2T-G型(2T-GEU型)に代わり、同じ1.6Lの4気筒DOHCとして新開発された4A-GEU型が、この4代目レビン/トレノに搭載されて最初に登場した。
当時の資料をひもとくと、エンジン排気量1587cc、ボア×ストローク=81mm×77mm、圧縮比9.4、最高出力130ps/6600rpm、最大トルク15.2kgm/5200rpmのスペックをもち、エンジン重量は123kgと2T-GEU型比で23kgの軽量化、騒音は約4dB低減となっている。
カタログ上でも大きく「16バルブ」と謳われていたが、開発当初は2バルブ方式で検討が進められ、ツインカム4バルブ方式は高速出力に優れること、燃焼効率が高いこと、燃費も良くなることといったメリットが認められたとしている。耐久性に関してもクランクシャフトを鋳造から鍛造に変更、フライホイール取り付けボルトも6本から8本にした……といった記述が拾える。なおレビン/トレノの登場翌年にデビューした初代「MR2」、FFの「カローラFX」には、この4A-GEU型を横置きとした4A-GELU型も登場している。
サスペンションについては3代目から踏襲され、型式上はフロントがストラット式、リアがラテラルロッド付き4リンクとなっていた。カタログにも、ラリーストに好まれる後輪駆動とリジッドサスペンションは、コントロール性、信頼性が申し分ないから……といった説明がある。フロントキャスターアングル4度(GT系、パワステ装着車)、GTVはスーパーチューンド・サスペンションとするなどした3種の味付けがあることなども記述されている。
* * *
レビン/トレノの名称とシリーズはその後も続いたが、AE86(とAE85)は最後のFRとなった。そして後年登場した「86」が同じ後輪駆動のスポーツカーとして車名に採用したのはご承知のとおりだ。今でも時折、街中でAE86を大事に乗っている今のユーザーを見かけることがあるが、80年代のクルマがまだピュアだった時代を象徴する愛おしい1台だ。