いまなお唯一無二の存在
スズキ「ジムニー」というと、今年1月、インドで5ドアがようやく発表された。この5ドアはご承知のとおりかなり前からウワサされていたクルマで、筆者もスズキ広報の人に「あのクルマはいつですか?」と機会あるごとに単刀直入に尋ねてはいたが「さあ、どうでしょう。今はとにかくお待たせしているお客様への納車が最優先ですので……」と、決して全否定ではない返事を聞かされ続けていた。
2代目ジムニーは今も多くの人の印象に残る存在
物書きの端くれとして、スズキのニュースリリースの文面にあった「インドにおいても、お客様が求める本格的な四輪駆動車としての……」のインドにおいて“も”の助詞の部分は一応、好意的に気にしており、日本市場で“も”展開があることをおおいに期待しているところだが……。
ところでジムニーは現行モデルで4代目となるが、過去の歴代モデルを振り返ってみると、初代が11年、2代目が17年、そして3代目が20年と、意外にも(と思うのはコチラの歳のせい?)代を重ねるごとに1世代のモデルライフが長くなってきた。このなかでもちろんエポックメイキングだった初代は、ジムニーの歴史の原点であり、世界的にも類のない軽4輪駆動車として、11年間連販売実績第1位の実績も残した。ということでジムニーを語る上ではもちろん外すわけにはいかない。
だが、ジムニーというと、販売台数もより伸長させた2代目もまた、今も多くの人の印象に残る存在だったのではないだろうか。
キャッチコピーに説得力を感じた
偉大だった初代の後を受け、初のフルモデルチェンジでSJ30型2代目ジムニーが登場したのは1981年5月のことだった。筆者の手元には2代目の初期の頃のカタログが何冊かあるが、今、改めて眺めてみると、当時生まれ変わったジムニーの魅力をピュアに……というか素直に写真と文面で伝えようとしていたその思いが伝わってくる。
“街ではスマートに、オフロードでは精悍になるジムニー。”と書かれているとおり、表紙の次にくるのは街中の建物の前で、カジュアルな普段着のオーナーがジムニーの傍らに立つシーン。さらにページを進めると雄大な草原、砂漠の上でジャンプするシーン、モトクロス仲間などと集うシーン、さらにスキー場でのシーンといった風に続く。
今ならデジタルの合成写真でこうした1カットは容易くできるだろうが、この時代はそれぞれ実際にロケを敢行してのものだったはず。砂地をジャンプしているシーンなど、原版のフィルムを拡大して使ったのか、あえて臨場感を出すためにピントの甘いカットが選ばれたのかわからないが、ドライブするモデルの表情が少しこわばっていたりするのも生々しい。その写真にはボディ色と合わせた赤い文字の“急坂にひるまない。アシをとられない。軽いボディ。大径タイヤ。登坂力38.7度(VC・VA)。オフロードはマイ・ウェイだ。”のコピーは、素直に説得力を感じる。