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翔んだ「ジムニー」! 80年代バブル前夜の夢見る日本を象徴したキャッチコピーは秀逸すぎて微笑ましい〜【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

乗用車的になった2代目のセールスポイントもしっかりと紹介

一方でスタイルもメカニズムも一新された2代目の説明も、簡潔にまとめられている。大きめの透視図には、角型鋼管フレームをクロスメンバーで補強したハシゴ型のフレーム構造や半楕円リーフスプリング式の前後サスペンション、2サイクルの539cc 3気筒水冷LJ50型エンジン、副変速機などが精緻に描かれている。

さらにページを進めると“豪華なシートに前向き4人乗り。”とあり、初代に対し、より乗用車的になった2代目のセールスポイントもしっかりと紹介されている。さらに小さな表が載っており、見るとそれは車両重量比較表(と占有面積比較図)で、690kgのジムニーに対し、A〜D社の小型4輪駆動車は1095〜1655kgと、軽自動車のジムニーがいかに軽くコンパクトであるかが示されている。

バリエーション豊富だった2代目

それと何といっても2代目ジムニーで魅力だったのは、当初から4タイプ5機種と豊富なバリエーションが用意されていたという点。とくにオープン系はもっともスパルタン(?)なキャンバスドア(F)と、それにロールバーとドアを加えたハーフメタルドア(FK)、さらフルドアとルーフ骨格が追加されたフルメタルドア(FM)と3タイプも用意があり、それにクローズドボディのバン(VC、VA)があるという何とも豪華なラインナップだった。ちなみにオープン系はインパネ側面のレバー操作でロックを外しフロントスクリーンを前に倒せる機構があったのも、この時代のクルマならではだ。

またボディタイプでいうと、日本市場向けには1982年の1Lモデル登場後、さらにそのピックアップ(SJ40T)も設定された。これはSJ40(ジムニー1000)のホイールベースを345mm伸ばした2345mmとし、キャリイトラックの荷台を切り詰めて架装したモデルで、ラグタイヤを装着し、農場などでの使用を目的としたクルマ(いわゆるワークホース)だった。ほかにハイルーフ化したルーフ(通常のワゴンに対してヘッドクリアランスは前席で+120mm、後席で+75mm、それぞれ余裕が増した)の左右にパノラマウインドウを備え、天井も一体成形としたパノラミックルーフ(GYL)も登場した。

時代に合わせてメカニズムも進化していた

なお2代目ジムニーは17年と息の長いモデルだっただけに、この間にメカニズムも進化した。軽自動車のエンジンでいうと当初のSJ30では550cc規格(の539cc・LJ50型)の2サイクルでスタートし、1986年のJA71で543ccのターボ(F5A)となり、1990年、14年振りの軽規格の一新に合わせて660cc(657cc・F6A型)のインタークーラーターボを搭載している。

一方でサスペンションでは、1995年に初代から数えて25年目にして、前後リーフスプリングから3リンク式リジッドアクスル式・コイルスプリングに。この年には軽ジムニーに初めて乗用車仕様が設定された。また1997年には、走行中の2WD/4WDの切り替えが可能なドライブアクション4×4が採用されている。

ジムニーは4代目の現行モデルにもそのコンセプトは引き継がれているが、コンパクトなこだわりの本格4WDとして、相変わらず唯一無二の存在なのは変わらない。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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