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アウディ「A5スポーツバック」は今や古典的!? 内燃機関4WDが雪道では驚くほど安心の乗りやすさでした

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: AMW編集部

雪上でもしっかり操舵できる熟練の走り

クワトロの雪の中での走りだが、ここはアウディの4WDの経験を感じさせるところとなった。まず雪上での発進で、わざとアクセルの初期の踏み込みを強くしても、ほとんど前輪のスリップを感知させることなく後ろから押し出してくる感覚の動きとなり、そのまま蹴り出すように車速をラクに高めていく。

超低ミューの上り勾配などでは、スムーズに動き出せるかの勝負は最初のひと転がりにあるので、前輪の空転感なくすんなりと動き出せるのは心強い。

幹線道路から白骨温泉へと向かう冬の道は、とくに勾配と凍結で厳しいことが多いものだが、ドライバー的にはまったく不安を感じることなく、またDCTによるステップシフトもスムーズで、思ったままの加速度、そして減速感が得られることから、リズミカルなドライビングが堪能できて心地よかった。

雪上ハンドリングに関しては、操舵初期の応答感にも手応えが確かで、そのあとの旋回性と安定感のバランスにも唸らされる。軌跡が膨らみそうになるような際のESCの介入も違和感を抱かせない。このため、ホワイトアウトで視界がほとんど得られないような中で走らざるを得なかったときも、コーナーが思っていたよりもRがキツいとか、突然目の前に障害物が現れるといったときでも、ステアリングの頼れる効きで回避したり、その後の姿勢の安定性の高さで、過度の緊張感を強いられることがなくドライビングに集中できた。

この車両にはオプションのダンピングコントロールスポーツサスペンションが与えられていたが、これが日常域や高速巡航での締まり感がありながらも優しい入力感と、姿勢変化の抑えの効いた動きをもたらしていた。

ディーゼルの燃費のよさも捨てがたい

ディーゼルエンジンに関しては、なにかと厳しい目が向けられることも多いが、排気量に対して高いトルク性能は魅力だし、そのトルクを強みに高速クルージングがごく低回転で可能(100km/hは7速で1300rpm強)なこと、余裕の動力性能に対しての燃費性能の高さなど、いまもって捨てがたい。

燃費の話をしてしまうと、今回は助手席に体重100kg超えの編集者を乗せながら、猛吹雪や厚く雪が積もった雪による走行抵抗の大きなワインディング、さらに長時間のアイドリングなどの悪条件も含めた計約750kmで、実燃費で17km/Lをわずかに切るあたりだった。ドライバーからすると、今回の走行条件、さらに走りの性能や快適性からして、十分に満足のいく数値だと思える。

ミシュランのスタッドレスX-ICE SNOWの性能も特筆もの

この機会なので、今回装着されていたミシュランのX-ICE SNOWの性能にも触れておきたいが、これは少なくとも北関東や信州レベルの雪路の中では、きわめて好ましい特性を示した。とくに、従来よりも溝面積を増やしているという、近年のスタッドレスタイヤでは珍しい在り方は、雪でのグリップ感が本当にしっかりと得られる。さらにシャーベットやザクザクと硬い雪面でも、面に乗っかっていってしまい姿勢を乱すようなことが少なく、雪路に慣れていないようなドライバーにも優しい特性を備えているのだった。SNOWの名を与えているだけのことはある。

溝面積を増やしているのに、ミシュランはアイス性能も向上させたとしているのは、ちょっと信じがたいのだが、今冬に某国産タイヤメーカーのスタッドレスタイヤの開発者とこのX-ICE SNOWの話に及んだとき、「ミシュランは何か技術的なブレークスルーを見い出したかもしれない」と、その性能を讃えていたので、このタイヤは注目である。

とくに今回のアウディA5スポーツバックでは、雪路では接地荷重面で有利な1インチダウンの細いサイズが装着されていたことも、印象をよくした要因だったと思う。見た目にはマイナスなインチダウンだが、フェンダー内のタイヤとの間隙も広くなり、フェンダー内が雪詰まりしにくいなど、メリットも多いのだった。

「ひと世代前」ならではの完成度を享受するなら今のうち

と、装着タイヤも関連して、走りにおいてはドライ路面から雪道まで満足度の高いもので、クーペボディの低い重心高による安定性の高さ、しなやかなで正確性の高いハンドリングなどは、完成度の高さを感じさせた。そのうえで、パッケージングでも奥行きある広いラゲッジスペースを備えるなど、実用面でのバランスも高い。

インフォテイメント系は新世代のMIB3に進化させつつも、空調関係やドライビングモードなどは、運転中にも操作しやすい物理スイッチが配置されている。好ましいと思う一方で、インパネまわりは見た目では、ひと世代前の感を与えられる人もいることだろう。

ある意味、今となってはメカメカしくも思える全体のこれら在り方が、なじみやすさと雪道でもしっくりとくる乗り味、そしてドライビングの心地よさを生み出しているように感じた。

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