草ジムカーナシリーズなのに、なぜクローズド格式にこだわるのか?
モーターランドSUZUKA(MLS)で毎年開催されている「Luft Gymkhana Challenge」の2023シーズン開幕戦が、2023年4月8日(土)に開催となった。
真剣にタイムを狙うと奥深い攻略が必要になる
モーターランドSUZUKAは、三重県鈴鹿市にある「鈴鹿サーキット」、「鈴鹿ツインサーキット」とともに鈴鹿に3つあるサーキットのひとつ。もともとはホンダのテストコースとして誕生したサーキットで、2つのヘアピンと直線、そしてインフィールドの組み合わせの1周1000mのコースとなっている。
テストコースとして設計されただけあって、直線でつながれた2つのヘアピンコーナーは、似たようなコーナーに見えるが、コーナー中のカントが微妙に異なる。ここで真剣にタイムを狙うと、じつは奥深く攻略が難しいコースとも言われている。
周回でもなかなか難しいコースを使用して行われているこのジムカーナのシリーズは、2016年から始まっており、現在7年目のシリーズとなる。毎回、MLSコースレイアウトを活かしたコース設計となっており、年間4戦のシリーズ戦となる。
初心者に配慮した設計にしている理由とは
このシリーズの特徴は、なんといってもJAFクローズド格式であること。国内Bライセンスの取得も可能な超本格的なジムカーナ競技となる。それにもかかわらず、ジムカーナ初心者にやさしい競技というのも特徴だ。この相反する課題をクリアするために取られたというのが、通常なら3走以上使用しないというジムカーナ競技のレイアウトを、6回まで走行を可能としている点(他にもコースの誘導看板の設置などを行うこともある)。本格的な競技の形式をとりながらも、コースを覚えなければならないというハードルを取り除いているのだ。
さまざまなところで初心者向けにジムカーナ練習会であるとか、初心者向けのイベントを開催している。だが、「Luft Gymkhana Challenge」は、6回走行が可能という練習会のようでいて、競技会になっているというところが、他との大きな違い。極めて初心者に配慮した内容ともいえる。
なぜ、そんなことをするのか? その答えはずばり「もっと多くの人にジムカーナを楽しんでもらいたいから」である。そもそも自動車競技を始めようとすると、どこから始めていいのかわからない、という問題に直面する。サーキット志向なら、走行会に参加していけばいずれレースに出ることにもつながっていき、その流れは見えやすいのだが、クルマも壊したくないし、他人と同時に競い合うことは避けたい、と考えたり、単純にジムカーナという競技に興味がある、となると最初から競技会というのも気が引ける。そんな人のために作られているイベントともいえるのだ。