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「レビン」と「トレノ」の違いを詳細解説! トヨタ初のオバフェンを装着したTE27とはどんなクルマだったのか【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: AUTO MESSE WEB編集部

ヤマハとの共同開発でOHVをDOHC化しピストンには最新素材を投入

燃料供給がキャブレターの時代、2本のカムシャフトで吸気バルブと排気バルブを開閉する「DOHC」エンジンは特別な価値と魅力を持っていた。それはレーシングエンジン直系の高性能ユニットだからだ。燃焼効率を高めるために精緻なメカニズムを奢り、高回転まで気持ちよく回る。「カムに乗る」と表現される、パワーが盛り上がる回転域のエンジン音も心地よかった。

トヨタはOHVとSOHCエンジンをベースに、ヘッドまわりを設計し直してDOHC化するのが得意だ。2T-G型直列4気筒DOHCユニットもT型直列4気筒OHVをベースに開発。これ以降、トヨタはDOHCエンジンに「G」のアルファベットを加え、高性能とプレミアム性を強くアピールするようになる。

トヨタ2000GTの3M型直列6気筒DOHCがそうであったように、2T-G型はヤマハが改造とチューニングを行ったDOHCユニットだ。ボア85.0mm、ストローク70.0mmで、総排気量は1588ccになる。シリンダーブロックはT型エンジンと同じ鋳鉄製で、ディープスカート方式だ。ボアの間には冷却水路を設け、冷却効果を高めている。

シリンダーヘッドはアルミ合金製だ。燃焼室は半球形で、その頂点に点火プラグをセットしている。温度変化による歪みをなくすため、時代に先駆けて鋼板製のストラットを鋳込んだピストンを採用しているのも特徴のひとつだ。高い強度を保ち、摩耗損失や焼きつきが防げる。

バルブ挟み角は66度で、浅いドーム状のクロスフロー吸・排気システムを組み合わせた。バルブ径は吸気側が43mmφ、排気側は37mmφだ。クランクシャフトは4バランスウエイトの5ベアリング支持である。

燃料供給は、特性を知り尽くしたソレックス40PHHキャブを採用し、2連装した。2種類のチューニングがあり、プレミアムガソリン仕様は圧縮比を9.8とし、最高出力115ps/6400rpmを発生。最大トルクは14.5kgm/5200rpmだ。パワーウエイトレシオは7.43kgm/ps(レビン)になる。

トランスミッションは、クロスレシオの5速MTのみの設定とした。最高速度は190km/hをマークし、0-400m加速は16.3秒の俊足だ。圧縮比を8.8に下げたレギュラーガソリン仕様の2T-GR型は、最高出力110ps/6000rpm、最大トルク14.0kgm/4800rpmのスペックだった。

サスペンションはベースモデルと形式は変わらない。フロントはストラット式で、コイルスプリングを組み合わせている。リアはオーソドックスな半楕円リーフスプリングによるリジッドアクスルだ。前後ともハードに締め上げ、スタビライザーも他のグレードが19mmφであるのに対し、レビンとトレノは21mmφの大径タイプとなっている。

ステアリングギアは素直な操舵フィールのボール循環式だが、16.1のクイックなギア比とした。軽量ボ
ディに短いホイールベース、そしてパワフルなエンジンだからキレのいいシャープな走りを見せ、豪快なド
リフトに持ち込むのもたやすい。その反面、じゃじゃ馬だった。

トヨタ史上初のオーバーフェンダー装着モデル

標準グレードとレビン/トレノをエクステリアで瞬時に識別できるのが、4輪に配したリベット留めのFRP製オーバーフェンダーだ。これはモータースポーツの世界で生まれた代物で、ワイドタイヤを履いてもフェンダーに当たらないようにと、叩いて膨らませたり、フェンダーアーチをカットして拡大。それに沿って樹脂製のカバーを被せたりしたのである。

この時代、日本車でオーバーフェンダー装着車は少数派だった。2ドアのスカイラインGT-Rに装着したのが最初である。初めて4輪すべてに被せたのはフェアレディ240ZG。これに続くのがTE27レビンとトレノで、トヨタでは初採用だ。

標準モデルと全長は同じだが、1400SRより全幅は90mmも広げられ、1595mmとなっている。また、タイヤとホイールのサイズも変えられた。SRは4.5Jのホイールに155SR13サイズのラジアルを組み合わせている。一方、レビンとトレノは、5Jのセンターキャップ付きホイールに175/70HR13の偏平ワイドタイヤを履いていた。

インテリアの基本は、カローラもスプリンターも同じである。ブラックに統一されスパルタンなムードを作り出した。ドライバーの前には3眼メーターが配され、その左側に3つの補助メーターを並べている。ステアリングは本革巻きのスポーティな3本スポークタイプだ。

視認性のよい3眼メーターは、左側にフルスケール200km/hのスピードメーターを採用。100km/hから上にイエローラインを引き、150km/hから先はレッドラインとなっている。交通事故死の多い時代だったので、メーター表示を工夫して警告を与えていたのだ。

右側には8000rpm表示のタコメーターをセットした。6500rpmからイエローゾーン、7000rpm以上をレッドゾーンとしている。中央には小ぶりな燃料計と水温計を配置。ダッシュボード中央には電流計、油温計、油圧計の3連メーターを装備する。ラジオなどのオーディオはオプション扱いだった。フロントシートは、ヘッドレストと一体型のサイドサポート付きハイバックシートを標準装備する。

このように装備面でもスポーツマインドを満足させるのはもちろん、乗って楽しいライトウエイトスポーツ、それがTE27だ。

カローラ レビン(TE27)
●年式:1972
●全長×全幅×全高:3955mm(3970mm)×1595mm×1335mm
●ホイールベース:2335mm
●車両重量:855(865)kg
●エンジン:2T-G型直列4気筒DOHC
●総排気量:1588cc
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●変速機:5速MT
●サスペンション(F/R):ストラット/リーフスプリング
●ブレーキ(F/R):ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ:175/70HR13
※( )内の数値はスプリンター トレノ

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