内燃機関の楽しさを存分に楽しめる希少な存在
シートに「収まり」、エンジンを始動させる。スズキ「ジムニー」用の660ccエンジンに手を加え、85psまで引き上げられている。わずか660ccのエンジンで約20psアップ、車重440kgでこの仕様は非常にパワフルと言っていいだろう。これ以上のチューニングは必要ないだろう。強いて言えば、マフラーなどを交換して効率アップとサウンドの変更くらい。それだけ、完成されているのがケータハム セブンである。
ショートどころではないほど短いストロークのシフトレバーを操作し、1速へ入れて発進させる。一度は圧倒的な加速を味わったほうがいい、という編集部竹内の言葉を思い出し、青信号での加速で少しだけ踏み込んでみた。小さいボディなのに、スーパースポーツに乗っているかのようなダッシュを見せる。大げさな表現だが、まさにそのとおりのように感じた。フロントガラスのない、ウインドシールドのみの170Rというのも要因のひとつだろう。エアクリーナーの吸気サウンドも、やる気にさせてくれる。
その楽しさは、一般公道でも存分に味わえる。エンジンの息遣いがダイレクトに伝わり、競技カートに乗っているようなシャープなハンドリング。法定速度内であっても、走りの良さを味わえた。ワインディングのようにコーナーが連続してヒラヒラと駆け抜けるような走りが一番楽しいだろう。機会にもし恵まれたら、今度はワインディングで試してみたくなった。
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クラシックカーのようなスタイリングは、やはりとても目立つ。前回の米澤もリポートしているが、ただ街を流しているだけなのに、歩行者からの視線が気になる。信号待ちでは「お、スゴイクルマ!」なんて声も聞こえてくる。実用性は、正直言って最低限レベル。頑張ればふたりでの1泊2日旅行くらいはOKだろう。しかし、「クルマで走る楽しさ」をストレートに味わわせてくれる。そんな魅力が詰まったクルマがケータハム セブン170Rである。