本格オフロード4WDらしいスペックを身につけていた
一方でメカニズムでは、カタログにも小さな図版が載せられているが、フレームとボディシェルを一体化させたビルトインフレームタイプのモノコック構造を採用。別体フレーム構造に対して30kgの軽量化と高剛性、ひいては高い操縦性、安全性も確保した。細かなところではドアの構造にも、振動、ホコリの進入、水圧などに配慮していた。
縦置きされる搭載エンジンは、660ccの4気筒DOHCの20バルブインタークーラーターボ、またはSOHC16バルブECIマルチとし、4WDシステムには、フロントデフをフリーホイールクラッチ付きとした、イージーセレクト4WDを採用。トランスミッションは5速MTと3速ATの設定。サスペンションはフロント=ストラット、リア=5リンク式。アプローチアングル44度、デパーチャーアングル47度を確保し、本格オフロード4WDらしいスペックを身につけていたこともパジェロ譲りだった。
また1996年1月には2WD車も追加設定。改めておけば、これはFR(後輪駆動)だ。
派生モデルやボディバリエーションも豊富にあった
そのほか派生モデル、バリエーションも豊富に登場した。1995年11月に登場したパジェロJr.(ジュニア)はその中の1台。このモデルはパジェロミニをベースに、660ccエンジンに代わりコンパクト設計の4気筒1.1LのSOHC16バルブエンジン(4A31型)を搭載。ちょうどジムニー シエラに対抗するモデルとして用意された。
外観では全幅を1545mmとし、パジェロミニのブリスターフェンダーに被せた形ではあったがワイドフェンダーとサイドガーニッシュを装着。ワイドトレッドと205/70R15 95Qのワイドタイヤの設定で、コンパクトだが安定感のあるスタンスとした魅力的なモデルだった。なおコチラのパジェロJr.は1998年6月に発売されたパジェロio(イオ)へと引き継がれ、5ドアも登場させるなどした。
パジェロミニで、2代目にバトンタッチする1998年までの間に登場した派生モデルの一例としてカタログ写真をご紹介しているのがスキッパーだ。スキッパーは往年のミニカのスペシャルティモデルの車名の再来だったが、パジェロミニではメッキグリルと特別色のモノトーンカラーに身を包み、UVカットガラスなども装着したカタログモデルとは一味違う特別仕様車として登場した。“遊び心”の言葉を地で行く、カジュアルだが三菱の4WDらしく本格的なスペックにも支えられた魅力に溢れたクルマだった。