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ダイハツがオシャレな4シーターオープンを作っていた! 「コンパーノスパイダー」とはどんなクルマだった?【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 日本自動車工業会/AUTO MESSE WEB編集部

スポーティな1Lツインキャブエンジンにローギヤード4速MTを搭載

リアコンビランプにテールフィンの名残のあるお洒落なフォルムの2ドアセダンをオープン化。心臓部にはベースモデルより排気量は大きく、ツインキャブのスポーティエンジンを搭載する。しかも4人乗り。ただ時代を先取りしすぎたのか、当時はその魅力が伝わらず、現代になり凄さが理解されたクルマが、ダイハツ「コンパーノスパイダー」である。

優雅なイタリアンデザインを採用し実用性も備えた4シーターオープン

軽自動車やコンパクトカーを得意とするダイハツ工業。大阪の地で「発動機製造」の名で創業したのは1907年だから、日本屈指の自動車メーカーと言えるだろう。戦前から戦後にかけて3輪トラックの分野で大きな成功を収め、1957年夏には軽自動車規格の3輪貨物トラック、ミゼットを発売。日本の風景を変えるほどの大ヒット作になった。

同社は、1950年代後半に4輪車部門への進出を模索するようになる。1961年秋の第8回全日本自動車ショーに出品した最初の作品は、ヨーロピアンスタイルのプロトタイプ。1962年のショーには新たに開発したコンパクトサイズの商用バンを出品した。この試作商用車を練り上げ、1963年4月に発売したのがコンパーノ・バンだ。また、乗用車の規格に改めたワゴンも同時に発売している。

最大の見どころは、商用車とは思えない端正なイタリアンデザインであること。優美なエクステリアを創り上げたのは、イタリアでカロッツェリアを主宰するアルフレッド・ビニャーレである。ショーで評判がよかったため、ダイハツはワゴンをベースに、後方をノッチバックにした2ドアセダンを設計。これが1964年2月に発表されたコンパーノ・ベルリーナ800だ。

ベルリーナ(BERLINA)とは、イタリア語でセダンのことで、キュートな3ボックスデザインの2ドアセダンだ。縦に配置したリヤコンビネーションランプまわりにはテールフィンの名残もある。ボディサイズは全長3800mm×全幅1445mm×全高1410mmで、ホイールベースは2220mm。同クラスのパブリカやファミリアより全長が長く、伸びやかさが際立っていた。

エンジンは、FC型797cc直列4気筒OHV。ロングストローク設計で、フレキシブルな走りを披露した。トランスミッションはコラムシフトの4速MTが標準。フロアシフトはオプション扱いだった。

同年秋に開催された第11回東京モーターショーには、ルーフを取り去り爽快なスポーツモデルを参考出品。これが「コンパーノ・スパイダー」である。SPIDERは英国風の「ロードスター」と同義語で、ラテンではこの呼び名をよく使う。その理由は、地を這うような姿がスパイダー(蜘蛛)のように見えるからだ。

正式発売は1965年4月。ベルリーナのルーフとセンターピラーを廃し、ボディサイドを補強して粋なオープンカーに仕立てている。注目のパワーユニットはFE型958cc直列4気筒OHVのツインキャブ仕様で、ローギヤードな4速MTを組み合わせた。オープンカーだが4人乗れるのが特徴だ。脱着式のソフトトップは、リアシートとトランクの間に収納される。

スパイダーを発売した1カ月後の5月、ホイールベースを60mm延長し、後席用のドアを加えた4ドアセダンのベルリーナ1000を追加。エンジンなどのメカニズムは基本的にスパイダーと同じだが、シングルキャブ仕様だ。しかし、スポーティ派の声に応えるために、10月にはツインキャブの1000GTを追加した。

コンパーノ・スパイダーは時代を先取りして余裕ある1Lエンジンを搭載し、オープンでありながら実用性も高い。だが、割高な価格に加え、時代が早すぎたため人々に魅力が伝わらなかった。今になって凄さがわかるオープンカーである。

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