HRE16号車はまたしても下位に沈むことに…
NASCARといえば、アメリカで最も人気のあるモータースポーツである。そのトップカテゴリーは、「カップ」シリーズとなる。その下に「Xfinity(エクスフィニティ)」、「CRAFTSMAN Truck(トラック)」というシリーズが並び、これらを3大シリーズと呼ぶ。第7戦のリポートをお届けしよう。
予選で14番手のタイムを記録
トラックシリーズには、日本人チームオーナーである服部茂章代表率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」が長年参戦。2018年にはシリーズタイトルも獲得しているが、今シーズンも若手ドライバーのテイラー・アンクラム選手を起用し、トヨタ タンドラでシリーズフル参戦をしている。
2月に開幕したトラックシリーズも第7戦となる「Long John Silver’s 200(200周/105マイル)」が、4月14日にバージニア州にあるマーティンスヴィル・スピードウェイで開催された。ここは「ペーパークリップ」と呼ばれるように、2本のストレートとタイトなコーナーで構成されたトラックで、アウト側はアスファルト、ターンのイン側だけコンクリートという複合路面を持つ。1周0.526マイル(846m)で、シリーズとしては今シーズン初のショートトラックでの一戦。このコースでアンクラム選手の戦績は5戦出場で10位が最高位となる。
HREがここに持ち込んだ「#16 LiUNA! TOYOTA TUNDRA」は、4月14日午後3時からの練習走行で25番手、そしてその直後の予選で14番手のタイムを記録し、7列目アウト側のスタートグリッドを獲得していた。
レースは雨に祟られ一時中断……
午後7時30分に予定されていたレースだが、そのスタート直前に雷雨に見舞われ、スタートは大幅に遅れ午後10時スタートとなった。ピットにはまだ水たまりが残るようなマーブル路面の状態で、全車両がレインタイヤ装着、という異例の状況下でのスタートとなった。
通常、オーバルのレースでは路面が濡れている時にはレースをすることはできず、ジェットドライヤー等の機材を使用して路面を完全に乾かしてからレースを行っている。しかし、2023年から採用された新しいレギュレーションでは、全長1マイル以下のサーキットではレインタイヤを装着してレースを行うことが可能となり、今回このレースで初めて運用されることとなった。コースが乾いたタイミングでのイエローコーションを活用し、34周目に全車がタイヤ交換を行い、一度はドライ用タイヤでレースは継続される。
しかし67周目にはまた雨が降り始めてレースは一時中断となる。その後レースは再開されるも16号車はイエローコーションでのピットタイミングが合わず周回遅れに。その後16号車は怒涛の追い上げを見せ、残り80周となったタイミングで「ラッキードッグ(周回遅れから同一周回へ戻してもらえること)」の権利を手に入れ、ラップダウンを取り戻すことに成功。同一周回に挽回したところでまたしても雨が強く降り始め、レースは、残り76周の124周を走行したところで終了、27位という結果となってしまった。HREにとっては、悪い流れが断ち切れないままの戦いが続く。
ナスカー・クラフツマン・トラックシリーズ、次戦は、5月6日(土)にカンザス州カンザスシティにあるカンザス・スピードウェイで開催される「Heart of America 200(134周/201マイル)」となる。