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海外でスマホを紛失したらどうすればいい? シエラネバダ山脈を越えた先でトラブル発生です──米国放浪バンライフ:Vol.30

海外でスマホを紛失したらどうすればいい? シエラネバダ山脈を越えた先でトラブル発生です──米国放浪バンライフ:Vol.30

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TEXT: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)  PHOTO: 牧野森太郎

アメリカを気ままに放浪3カ月:73日目~74日目

これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。最大の目的地であるワシントン州のオリンピック国立公園を満喫して、ふたたび南下しカリフォルニア州へ。友人夫妻とキャンプを楽しむため、海岸沿いのオークランドから東へ向かいます。

7月11日 パインクレスト・レクリエーションエリア

AKIRA隊長夫妻(LAで旅行代理店を営む)とバックパッキング・キャンプをするため、オークランドから東シエラのローンパインに向かう。シエラネバダ山脈の向こう側に行くためには、どうしても山越えが必要になる。これがティモシーに会うための代償だった。

しかも、ヨセミテ国立公園を横断する通称タイオガロードは、乗り入れ台数制限のため午前6時から午後4時まで宿泊予約があるクルマ以外は通行不可となっている。せっかくなら世界に誇る絶景コースを行きたかったが仕方がない。距離のロスが少ない州道108号線を行くことにした。

なるべくドルに負担がかからないように2泊3日の計画を立てた。1泊目はシエラ山中のパインクレスト・レクリエーションエリアを予約した。標高5600フィート(1680m)ほどのところにあるレイク・リゾートだ。アメリカにはこういう施設が本当にたくさんある。そして、どこも満員だ。パインクレストも例外ではなく、家族連れであふれていた。

途中で給油に立ち寄ると、レジの女性が顔をしかめている。「この煙で気が狂いそうだわ」ヨセミテの北の谷で山火事があり、煙がこのエリアに流れてきているのだ。視界が悪く臭いも強い。何日もこの状態が続けば、確かにたまらないだろう。

7月12日 2840mの峠を抜けて山越え成功!

翌日、ローンパインの100kmほど手前の町、ビショップを目指して、ヨセミテの夜明けを拝みながら出発。ここからが本格的な山越えだ。急な坂道をこれでもか、と登り続ける。ロードサイドの標高を示す標識が、7000、8000と上がっていく。そして、ついに9600フィート(2840m)で峠を迎えた。外に出てみると風がめちゃくちゃ冷たい。ドルは本当に頑張りました!

そのあとは東シエラを縦断する395号線まで一気の下りだ。張り詰めていた緊張が解け、ドルの水温も「C」近くまでクールダウンした。

無事に山越えを終えたところで、携帯電話からメッセージの受信音が聞こえた。ティモシーからの返事に違いない。ドルを買うかどうかの回答期限は昨日だったが、電波が届かないエリアにいたため受信できていなかったのだ。さあ、彼の答えはどうだろう?

ビューポイントでクルマを止めてメッセージを見る。「素晴らしいRVを見せてもらってありがとう。興奮しました。でも、今回は購入を見送ることにします。最高の旅が続くことをお祈りしています」

もし、ドルが売れた場合、セバストポールに戻ることになる。そのためには、また3000メートル級の山越えをしなければならない。それを避けるには南回りの超ロングドライブになる。

それを考えると気持ちが重かった。結局、売れなくてよかったのかもしれないが、どんな試験でも「NO」という答えは失望を意味する。眼下にきれいな湖を見下ろしながら、しばらくぼうっと放心した。

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