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ポルシェ「911」シリーズ60周年記念の展示は「ナロー」「959」「カレラGT」! オートモビルカウンシルでの美車を一挙紹介します

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

ポルシェ959(1993年式)

3台目は1986年に登場したポルシェ959です。これを911シリーズに編入させるべきかは意見の分かれるところですが、911のようなシルエットを持ったボディのリアにフラット6を搭載していることから911ファミリーと呼ぶには異論はないはずです。

911シリーズと異なっているのはドライブトレイン。911シリーズがリアエンジン・リアドライブなのに対して959はリアエンジンの4輪駆動(4WD)だったのです。1970年代後半から4WDの研究を進めてきたポルシェは、世界耐久選手権(WEC)や世界ラリー選手権(WRC)に参戦を目指し、959がグループBとしてホモロゲーション(車両公認)を獲得できるように200台の959を生産することになりました。ポルシェ959

しかし実際には市場の反響も大きく、結果的には283台が生産されたようです。残念ながらWRCにおいてはグループB車両によるアクシデントが続発し、危険であるとの判断からグループBが廃止となりました。ですが、WRCに代わるフィールドとしてダカール・ラリーに参戦し1984年に開発車両でデビューウィンを飾ると959の市販モデルをベースに競技車両を仕立てて参加した1986年にも圧倒的な強さで優勝を飾っています。

またレースにおいても発展モデルの961で1986年のル・マン24時間にデビュー。格違いのグループCに割って入る恰好で総合7位、IMSA-GTXクラスでクラス優勝を飾っています。ちなみに959のベースモデル(市販モデル)のスペックを紹介しておくとフラット6の排気量は2848cc。これにツインターボを組み込むと最高出力は450psで最高速300km/h以上に。911がベースで狭いながらも後席があり、世界最速の4人乗り、との評価が生まれていました。

ポルシェ カレラGT(2006年式)

4台目は、カーボン製のモノコックでミッドシップにサブフレームを介してV10を搭載した2006年のポルシェ カレラGT。さすがにこれは911シリーズと呼ぶには抵抗がありますが、それでも、959の後継に位置づけられるグループGT1規定のポルシェ911GT1の、そのまた後継としてル・マン24時間制覇を目指したクルマ(展示モデルはそのロードバージョン)と考えれば、911シリーズに同席することに異論はないでしょう。

搭載したエンジンは5733ccのV10で最高出力は612ps。驚くべきは軽量さで、大排気量のV10エンジンを搭載しているにも関わらず車両重量は1380kgに収まっていて、0−100km/hの発進加速はわずか3.8秒という韋駄天ぶりを発揮していました。世界生産は当初1500台限定とされていましたが、約5000万円という高価格が影響したか、1270台が生産されるに留まったようです。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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