バブル時代の青春グラフィティ
昭和のクルマ好きにとって漫画も立派な情報源だった。そして、そんなクルマ好きの好奇心をくすぐっていたのが族車だ。この族車を扱った当時の漫画といえば、楠みちはる作『シャコタン★ブギ』だ。1986年に『週刊ヤングマガジン』に連載が開始され、クルマとナンパが大好きな主人公2人の「青春グラフィティ」として描かれ大ヒット。その後、1987年に東映で実写版が公開。主人公のコージ役を木村一八さんが、ハジメ役を金山一彦さんが演じたことで話題になった。ここで紹介している10ソアラは、その劇場版に登場した「ハジメちゃん仕様」のソアラを再現したレプリカだ。
「ハジメちゃん仕様」を完コピ!
オーナーは“イナミの帝王”さん。そのこだわりはハンパなく、エアロパーツは当時物ヒロ製のフルキットを探しまくって装着。ハイソカーの証とも呼ばれたフェンダートリムはゲインズで、ホイールは定番のアイスピード、タイヤは懐かしのピレリP7をセット。映画に登場したクルマとまったく同じパーツを探して取り付けたフルレプリカである。
「まぁオイルクーラーはハッタリやけどマフラーはバリバリの横出し煙突や~」と、実はコレ、映画のセリフだけど、その仕様通りに再現し、見事に作り込まれている。
レプリカ製作は苦労だらけだったと話すイナミの帝王さん。中でもピレリP7タイヤの入手が困難で、日本国内で持っているところはどこにもなく、海外のサイトを探しまくってイタリアで発見。
すぐに発注したが、なんと日本に届くまでに2年半もかかったという。そこまで待つオーナーの情熱と本気度が伝わるエピソードだ。
なつかしの「renoma」
劇中レプリカへのこだわりは、ヒロのエアロやP7タイヤ、アイスピード15インチホイールだけではない。ベースとなったソアラ後期モデルに前期用フロントフェンダーあえて取り付けたリメイク、さらに、前期用ドアミラー、ライトカバー、ハッタリボンピン、LONZAスモークテール、そして、ペイントではなくカッティングシートによる処理など、劇中車をそのまま再現している。
内装はAT車をベースにして、renoma(レノマ)のハンドル、オートルックAK1シフトノブ、水玉ティシュカバー、前期シートをセット。そのシートには、レース編みのシートカバーを被せているのもニクイ演出だ。
イナミの帝王さんの熱量が伝わってくる『シャコタン★ブギ』劇中車「ハジメちゃんソアラ」。オーナーの話では、同じように徹底的に作り込んだレプリカ仕様が、他にも全国に2台ほど存在しているらしい。ぜひとも3台揃ったミーティングを開いてほしいものだ。