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元トヨタマンの愛車は初代「マークII GSS」! トヨタ・ツインカムの灯を今に伝えるオーナーのこだわりとは?

新潟・三条の「20世紀ミーティング」でレザートップの初代マークIIに遭遇

2023年4月16日(日)、新潟県三条市の信濃川沿いのミズベリング三条(水防学習館)で開催されたヒストリックカー・イベント「20世紀ミーティング 2023春季」。前身となった「5ナンバーミーティング」時代から数えれば今回で5回目となり、回を追うごとに認知度も高まり、今では地元の警察や自衛隊なども展示協力してくれる地元恒例のイベントとして定着しつつある。そんなヒストリックカー・イベントに欠かせない役者といえば、「トヨタ・ツインカム一族」だろう。

憧れのツインカム・エンジンを逆風のなか守り抜いたトヨタ

1960年代、質・量ともに成長を続ける国産車の、そのパワーとスピード・高性能の象徴とも言えたのがDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)エンジン、別称ツインカム・エンジンだった。ホンダの「S500」、トヨタ「2000GT」、日産「スカイラインGT-R」などのスポーツカーや高性能GTによってそのポテンシャルが広く知られるようになったツインカムだが、当初は各メーカーの技術的アドバルーン、イメージリーダー的存在という意味合いも強かった。そんな中、「憧れのツインカム・エンジン」を多くのファンの手に届く存在にまで普及させたのが、トヨタである。

「トヨタ・ツインカム」という言葉には独特の響きがある。1970年代、石油危機と排気ガス規制対策に追われた時代をリアルタイムで体験している世代にとっては、とくにその感が強いのではないだろうか。スポーツカーや高性能車への風当たりが強まっていた当時にあっても、トヨタが決して手放すことのなかったツインカム・エンジン。それは当時のクルマ好きにとっての「希望」といっても過言ではなく、もはや馬力とか吹け上がりといった技術的優位性の議論以前に「クルマ好きの憧れのアイコンとして、ツインカムの灯は消すべきではない」という、メーカーの矜持すら感じさせるものであった。

1.6リッターのセリカLBから1.9リッターのマークII GSSに乗り換え

この時代のトヨタ・ツインカムといえば、「セリカ」や「カリーナ」、「レビン/トレノ」に搭載された1.6Lの名機2T-G、そして2Lの18R-Gが真っ先に思い浮かぶが、イベント会場で目に飛び込んできたのは鮮やかな黄色の「コロナ マークII GSS」である。セグメントとしてはコロナのひとクラス上級ということから「マークII」と命名され、その上級グレードがこのGSSで、エンジンは110psを発生する1900ccの8R型を積んだ。

以前は「セリカ」のリフトバックにも乗っていたというオーナーの小林さんは新潟県内からの参加だ。初代セリカやTE27などに比べると、初代マークII GSSはヒストリックカー・イベントでも少数派といえる。しかし、このマークII GSSの成功によって、2T-G、18R-Gといった「トヨタ・ツインカム王国」への道が確たるものとなったのだ。

「それまで乗っていたリフトバックは1600ccでしたが、GSSは1.9Lなのでやはりパワフルに感じますね。かと言って、乗りやすいかと言われればそんなことはありませんが(笑)」

エンブレム類は新品パーツを確保して美しく輝かせる

量産を想定していない2000GTや、レース活動が中心という印象が強い1600GTに対し、トヨタのツインカム・エンジン搭載車としては本格的な量産を前提として生まれたマークII GSS。

「以前から気になっていた車種だったのですが、友人のツテで手に入れることができました。程度は比較的良好と聞いていましたが、やはりオーナーになってから、あちこち手を入れる必要がありました」

と語る小林さんのこだわりのひとつは、フロントグリルやボディ各部のエンブレム類。

「小さなパーツですが、これらがキレイかどうかでクルマの印象が大きく変わってくるので、クルマが手元に来るのと同時にエンブレム類も新品パーツを確保して、それらを取り付けました」

たしかにこれら新品パーツが、ボディ全体のシャープな印象をより強めているようだ。経年劣化で剥がれてしまうことも多いレザートップ(アメリカではバイナルトップとも)と呼ばれるレザー調の素材が貼られた黒いルーフも、キレイなコンディションが保たれている。この2トーン・カラーも、いかにも当時の上級スポーティカーならではの演出だ。

オーナーの小林さんは、長年地元のトヨタ・ディーラーに勤務していたというトヨタマンでもある。まさに、仕事と趣味が見事にシンクロした、理想的なヒストリックカー・ライフのお手本なのだった。

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