サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

旧車趣味は「ミニに始まりミニに終わる」!? パワフルな「ジョン・クーパー」から非力な「クーパーMk.II」に乗り換えた理由とは

998ccの1968年式モーリス・ミニ・クーパーMk.II

クラシックカーの集会では「ミニ」といえばもちろんコチラ

趣味の真髄を表す言葉に「フナに始まりフナに終わる」なんてものがある。要は「身近なところから始めて、自分なりにその道をいろいろ突き詰め、そして最後には原点に還る」といったところか。それをクルマ趣味に当てはめれば、「ミニ」などはまさにそんな「自動車趣味界のフナ」ではなかろうか。ご存知のようにドイツのBMWがミニの商標を手に入れ、新世代のミニを作り始めてからは、それまでのミニは識別のため「クラシック・ミニ」などと呼ぶようになったが、ヒストリックカー・イベントでミニといえば、もちろんオリジナルのこちらを指す。

クラシック・ミニを乗り継いでたどり着いた、上品なスタンダードモデル

2023年4月16日(日)に新潟県三条市で開催されたヒストリックカー・イベント「20世紀ミーティング 2023春季」。これはその名の通り2000年までに生まれたクルマが参加条件なので、クラシック・ミニはすべての年式・モデルがエントリー可能なわけだ。自動車趣味界の大メジャーであるミニだが、メジャーなだけに「ミニ一族だけ」のイベントも多く、この20世紀ミーティングのような幅広い車種が集まるイベントでは、ミニはかえって少数派。そんななか、会場に佇む1台のミニに目が止まった。

「子どもの頃からずっとミニが好きでした」と語るのはオーナーの高橋さん。上品な佇まいのモーリス「ミニ・クーパーMk.II」は、排気量998ccの1968年式。2007年に一度レストアされたという個体は現在でも程度は非常に良好だ。

「このモーリスの前に乗っていたのもミニで、そちらは15年くらい前にミニマルヤマさんで手に入れた“ジョン・クーパー”でした。しばらくの間はそのジョン・クーパーでミニ生活を楽しんでいましたが、数年前、地元のT.DRIVE(ティー・ドライブ)さんでキレイなモーリス・ミニ・クーパーの出物があって、そちらに買い替えました」

読者諸兄には釈迦に説法だろうが、ミニマルヤマとは「日本のミニ趣味世界」を創造し、牽引してきた伝説的な超有名店。そしてT.DRIVEとは、上信越エリアの多くのヒストリックカー・ファンが頼りにしている新潟のスペシャル・ショップ。高橋さん、お店選びもナイスです。

同じ形のミニだけで深甚かつ広大な世界が広がっている

モデルライフ後期には、車名が単に「ミニ」となったが、もともとは英国民族資本系の自動車メーカー(の集合体)、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が1959年にデビューさせた「モーリス・ミニ・マイナー」と「オースチン・セブン」がミニの始まり。この関係を国産車で例えるならば、2代目トヨタ「パブリカ」とダイハツ「コンソルテベルリーナ」のような、いわゆるバッヂエンジニアリング車。

そしてノーマルのモーリス/オースチン・ミニに対し、F1コンストラクターとして名を馳せたジョン・クーパーが開発に携わったのが「ミニ・クーパー」で、チューニングの度合いによってクーパーとクーパーSがあり、国産車で例えるならば、量販仕様の「スカイライン」1800GLと上級グレードの2000GTとレース上等の2000GT-Rみたいな関係で……なんて情報も蛇足だろうが、ともあれ。

蘊蓄無用、事前情報なしでいきなり乗っても、その小気味よい独自の運転感覚が楽しいミニ。そして歴史をひもとけば誕生から終焉まで、まるで大河ドラマのようなヒストリー。モータースポーツでの活躍とドラマチックなエピソードの数々。さらには現実的な維持費まで含め、ヒストリックカーとしての間口の広さと懐の深さ。

オーナーの高橋さんでなくとも、ヒストリックカー趣味が「ミニに始まりミニに終わる」というファンが多いのも、むべなるかな、である。

モバイルバージョンを終了