トヨタ コンフォートとクラウン コンフォートはしっかり差別化
もう1車種、トヨタ コンフォート/クラウン コンフォートも、鉄道模型のジオラマの中に置いてありそうな、いかにもタクシー然としたオーソドックスなスタイルのクルマだった。
こちらは6代目マークIIのセダン(LX80系)をベースに仕立てられたクルマ。ただし、いかにもトヨタらしいのは、トヨタ コンフォートとクラウン コンフォートと2タイプを用意したこと。この2車はカタログが別々であるだけではなく、全長とホイールベースを作り分けて、小型車と中型車の両方のタクシー仕様を用意していた。小型車のトヨタ コンフォートは全長4590mm、ホイールベース2680mm(これはマークIIセダンと同じ)であるのに対し、それより全長(4695m)とホイールベース(2785mm)がともに105mm長い設定としていたのがクラウン コンフォートだった。
カタログには室内スペックの記載もあり、両車の数字を見較べると、後席ニールームはクラウンコンフォートのほうがキッチリと105mm長くなっている。ちなみにカタログには後席ドアサイズについて「中型タクシーNo.1」と謳われている。また全高についても1515mmとし、日産クルーを上まわる余裕をモノにしていた。
雨だれ抑制に至るまで細かいところもコンフォート
外観もなるほどクラウン コンフォートは王冠オーナメント付きのいかにもクラウンらしいフロントグリルだったのに対し、トヨタ コンフォートは一見すると似ているがじつは別物だった。とはいえどちらにも上下2分割構造の樹脂製バンパーを採用し、補修時の費用を抑える配慮がなされていたほか、広めのルーフドリップモールの採用でドアガラスへの雨だれを抑える設計も採用されていた。
また大容量のラゲッジルームもカタログでアピール。LPガス仕様車でも折り畳んだ車椅子が載せられることや、大型スーツケース4個、10インチのゴルフバッグ4人分などが乗せられる説明も載っている。
写真のカタログは2001年のものだが、ブレーキアシスト、運転席SRSエアバッグ、当時のトヨタの衝撃吸収ボディ&高強度キャビンであるGOAの採用なども謳われている。
* * *
営業車という性格上、一般ユーザー向けの乗用車のカタログに較べると全体の趣は地味ではある。が、普段は後席から覗く程度のインパネまわりの装備、機能がジックリと眺められたりと、見ているとなかなか興味深い両車のカタログだ。