きれいなゴールデントラウトは大自然からのご褒美?
午後3時、ぼくたちの湖に釣り人がやってきた。盛んにルアーを投げてはいるがヒットの様子はない。釣れる可能性はきわめて低いはずだが、意外と粘っている。戻ってきた彼に話を聞くと、いいサイズの魚が見えているのだという。
本当かな、と疑いながらポイントにいくと、たしかに背びれを出してシャロー(浅い場所)を泳いでいる魚が何尾も見える。しかも、いいサイズだ。もしかしたら、チャンスがあるかもしれない。さっそく夕マヅメにチャレンジするが、ヒットはない。魚はいても活性が低いのだろう。
その晩は3年ぶりに3人で山の食事をし、コヨーテの遠吠えを聞きながら3000mオーバーのキリッと冷たい夜を過ごした。やはり、シエラネバダのバックカントリーは特別だ。ここに戻って来ることができた幸運を感謝した。
ぼくの竿に幸運が訪れたのは、翌日の朝マヅメだった。早起きしてコーヒーを飲みながら水面を注視していると、しばらくしてライズが始まった。さっそくロッドを持って湖畔に走り、キャストを開始。すると、数分後、確かなアタリがロッドをしならせたのだった。
「釣れた! 隊長、カメラ、カメラ!」AKIRA隊長を大声で呼びながら、慎重に魚をランディングした。立派な魚体のきれいなゴールデントラウトだった。世界中でここでしか釣れない、金ピカの魚。アングラー憧れの一尾だ。まさにここまで頑張ったご褒美をもらった感じだった。
7月15~16日 ローンパイン近郊のキャンプ場
山から降りるとAKIRA隊長夫妻はロサンゼルスに向かい、ぼくは町の近くのキャンプ場にチェックイン。プロパンガスを補充し、コインランドリーで洗濯をし、カフェでビールを飲み、溜まっていた仕事に集中した。
日中は焦げるほどの強烈な暑さだが、夜から朝方にかけては快適な涼しさに一変する。ぼくはそのキャンプ場に2泊し、3日めの早朝にロサンゼルスを目指すことにした。なんとなくローンパインの町が好きになっていた。
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