当時は未来のクルマとして位置づけられる内装の仕上がり
MX-81で最も特徴的なポイントは、エクステリアではなくインテリアにありました。ガラスエリアが高く広く設定されているために、ドアのサイドウインドウは“はめ殺し”となっていて、小さな、しかし上下にパワースライドして開く“チケットウインドウ”が設けられています。そのドアを開けるとモケットを大きく革で縁取ったシートが目に入ります。このシートを90度回転させて乗り込むことになるのですが、ドライバー席の正面にはハンドルがありません。
いや正確に言うと一般的なステアリングホイールが見当たらないのです。落ち着いて見直してみると正面奥にモニター(時代的には仕方ないのですが、液晶モニターではなく画面が少し湾曲したブラウン管でした)があり、モニターを囲む周囲の壁の稜線に沿って右下にはホーンボタン、左下にはウインカースイッチがあり、その間には前後のフォグランプやハザードランプのスイッチが配されています。
さらにその稜線を囲むように、44個のブロックが繋がった“縁取り”が施されていますが、この“縁取り”が前輪を操舵するステアリングでした。また小型ブラウン管を採用したモニターにはエンジン回転数や燃費などの情報が3次元表示されるなどと公表されていました。
東京モーターショーでお披露目された当時は、革新的とさえ思われていた装備の数々ですが、ブラウン管から液晶パネルに機器としては進化しているものの、さまざまなデータをモニターすることは、現在ではもはや当然の手段。また自動運転がより進化してきたことで、旧態然としたステアリングの存在も一考の余地が出てきそうです。そんなMX-81が、今から40年以上も前に誕生していたことは驚くべき事実です。