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ハンドルがない!? マツダ「MX−81」は昭和シティポップなテイストで未来を予想したコンセプトカーでした

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

当時は未来のクルマとして位置づけられる内装の仕上がり

MX-81で最も特徴的なポイントは、エクステリアではなくインテリアにありました。ガラスエリアが高く広く設定されているために、ドアのサイドウインドウは“はめ殺し”となっていて、小さな、しかし上下にパワースライドして開く“チケットウインドウ”が設けられています。そのドアを開けるとモケットを大きく革で縁取ったシートが目に入ります。このシートを90度回転させて乗り込むことになるのですが、ドライバー席の正面にはハンドルがありません。

いや正確に言うと一般的なステアリングホイールが見当たらないのです。落ち着いて見直してみると正面奥にモニター(時代的には仕方ないのですが、液晶モニターではなく画面が少し湾曲したブラウン管でした)があり、モニターを囲む周囲の壁の稜線に沿って右下にはホーンボタン、左下にはウインカースイッチがあり、その間には前後のフォグランプやハザードランプのスイッチが配されています。マツダMX-81のインテリア

さらにその稜線を囲むように、44個のブロックが繋がった“縁取り”が施されていますが、この“縁取り”が前輪を操舵するステアリングでした。また小型ブラウン管を採用したモニターにはエンジン回転数や燃費などの情報が3次元表示されるなどと公表されていました。

東京モーターショーでお披露目された当時は、革新的とさえ思われていた装備の数々ですが、ブラウン管から液晶パネルに機器としては進化しているものの、さまざまなデータをモニターすることは、現在ではもはや当然の手段。また自動運転がより進化してきたことで、旧態然としたステアリングの存在も一考の余地が出てきそうです。そんなMX-81が、今から40年以上も前に誕生していたことは驚くべき事実です。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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