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最新のケータハム「セブン170R」に42年前の「セブン」オーナーが乗ってみた! 形は同じでも走りは別次元に進化してました【AMWリレーインプレ番外編】】

最新のケータハム「セブン170R」に42年前の「セブン」オーナーが乗ってみた! 形は同じでも走りは別次元に進化してました【AMWリレーインプレ番外編】】

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: AMW 竹内耕太

旧型より100キロ軽くても剛性感しっかり

セブン170Rが待つ取材場所まで自分のGTスプリントで向かったのだが、その片道30分ほどの距離でも旧いセブンでのドライブは十分楽しい。というか、それなりにスパルタン。かつては締切が明けると峠に遊びに行ったり、サーキット走行会に出かけたりしていたが、還暦を過ぎたオジサンにとってはいまや都内近郊のこの程度の移動距離でも、それらに匹敵するほど濃い時間が味わえる。ベニヤ合板に載せたスポンジをビニールで覆っただけの簡素なシートに揺られて目的地に到着。

駐車場で初めて会った170Rは、やはり小さい。いや、ボディが軽自動車規格に収まるようにリアフェンダーの幅が詰められている以外はうちのセブンと同じはずなのだが、フロントウインドウの代わりに取り付けられたエアロスクリーンやハイバックのシートなどが、視覚的にこの170Rをより低くコンパクトに感じさせる。これが同じ軽自動車規格のセブンでも、ロードエクイップメントを充実させた170Sであれば印象はもう少し違ったものになるだろう。

まずは170Rに乗り込んでみる。身長175cmのコーリン・チャップマンが自分の体格に合わせてサイズを決めたと言われる、必要最低限のコクピットの寸法はロータス時代からほぼ同じ。足元のペダルボックスもタイトでABCペダル同士の間隔はごくわずか。先の細い靴でないとアクセルとブレーキを同時に踏んでしまうほどだ。

170Rの車重はじつに440kgと筆者のセブンよりもさらに100kg近くも軽いが、かといって「ペナペナ感」は全く感じられず、コクピット全体も高い精度と密度で作り込まれており、いまや「バックヤードビルターの手作り感」はない。各部に多用されたカーボンパーツやアナログながら近代的な意匠のメーターパネル、ハイマウント・ストップランプや自動ロック式巻取りシートベルトなどの近代的な装備の数々も、2020年代生まれの新車であることを感じさせる。

無邪気な軽やかさはどこかテレビゲーム的

実際に走り出してみると、さらに最新のクルマであることを強く印象付けるのがエンジンだ。スズキから供給を受けてケータハムが独自のセッティングを施した658ccの直列3気筒DOHCターボは最新のジムニーと同じもので、オイルのシミやキャブレターの息継ぎ、ガスの吹き返し、もちろん排気ガスの匂いなどとは一切無縁のジェントルな日本製インジェクション・エンジン。パワーは85psと軽量ボディに対しては十分以上で、アクセルを軽く開けるだけで軽快に、飛ぶように加速していく。

その無邪気な軽やかさはどこかテレビゲーム的でもあり、大馬力エンジンを搭載した旧いセブンが湛えていた「優れた動力性能と引き換えに貴様の命を差し出す覚悟はあるか?」みたいなヤバい印象は、ない。

走るための装備以外は何も持たないスパルタンなピュア・スポーツ、ケータハム・セブン。その軽量・シンプルという原初のコンセプトを究極まで突き詰めた170Rは、1957年にデビューした初代ロータス・セブンに最も近く、しかしそのコンセプト以外はまったく別物の、天下無双の最新ライトウェイト・スポーツカーであった。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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