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なぜ4気筒「GRスープラ」は欧州で販売されない? ドイツで200台限定「富士スピードウェイリミテッドエディション」に乗って考えてみた【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 木下隆之/トヨタ自動車

  • 所属チームのトレーラーとGRスープラ

  • ドイツの道とスープラ
  • GRスープラのリア
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ドイツでの相棒は希少な200台限定のGRスープラ

レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「2LのGRスープラ」だ。ドイツ・ニュルブルクリンクで行われる24時間レースに参戦するため、現在はドイツに拠点を移し活動中。移動の際の相棒として活躍しているのは、チーム所有のトヨタ「GRスープラ」。それも、欧州には通常設定されていない、2Lターボを搭載する200台限定モデルという。どうして欧州未導入モデルが限定販売されたのだろうか?

ひと目でわかる限定車の証に街でも注目の的

トヨタ「GRスープラSZ-R 2.0 富士スピードウェイリミテッドエディション」は、ドイツでもたいそう珍しいらしい。国民の多くがクルマ好きという特性もあり、これまで何度も写真撮影をせがまれたし、沿道の人にスマホを構えられることも少なくない。

それもそのはずで、ドイツでトーヨータイヤから日常の足代わりに提供してもらっているこのスープラは、欧州限定200台のスペシャル仕様なのだ。搭載するエンジンは直列4気筒2Lターボ。最高出力258ps、最大出力400Nmを発揮する。

限定車の証としてホワイトメタリックの外板色に赤いドアミラーが特徴だから、ひとめで限定モデルであることが判明してしまうため、人目につきやすいのだ。

200台限定という希少性はもちろんのこと、そもそも2LのGRスープラが欧州では販売されていない。日本国内には、直列6気筒3LターボのRZと、258psの直列4気筒2LターボSZ-Rと、それに加えてエントリーモデル的な196psの直列4気筒2LターボSZがラインナップされるものの、欧州と米国には3Lモデルしかリリースされていない。故に2Lはとてもレアなのである。

アウトバーンには3L、郊外には2Lが合う

なぜ欧米には2Lモデルの設定が無いのか……。スープラの開発と生産はBMWが主体だから、少なくともドイツにはその設定があっても良さそうなものだが、2Lの4気筒エンジン搭載車は日本専用モデルのみとなる。

想像できるのは、超高速社会である欧州では(とくにドイツでは)、絶対的な動力性能が求められたことであろう。速度無制限のアウトバーンでは、スポーツカーならば250km/hでの余裕あるパワーが期待される。だとするならば、大排気量である必要があるのだ。3Lターボエンジンは340ps、500Nmを発揮する。これならアウトバーンの追い越し車線を走る最低線の権利が得られる。

それでも2Lモデルをドイツに投入した理由は、そのハンドリングにあるのではないかと想像している。直列4気筒であることで前後重量バランスが50:50になった。BMWが推奨する理想的な数字を得る。郊外に行けばドイツの一般道の法定速度は100km/hだ。けっして道幅は広くない。100km/hで走っても咎められないとはいえ、100km/hではおよそ曲がり切れないようなコーナーが連続する区間もある。そんな環境ならば、俊敏なフットワークが魅力的に映らないわけがない。それが2L仕様の存在意義なのだ。

GRスープラのリア

ちなみに、GRスープラSZ-R 2.0を200台限定モデルに設定したのは、はたして欧州市場で受け入れられるかのお試し期間なのだろう。

できれば、その名はニュルブルクリンクエディションにするべきだったという意見をドイツ人の口から聞いた。富士スピードウェイの知名度と憧れは、ドイツではそれほど高くはないからね。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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