今宵のお題はBMW「M4」です
伝説のブローカーと美女のセールスレディが、毎回注目の中古車をピックアップ。ふたりのトークを読めば、現在の中古車相場や購入ポイント、クルマの来歴までわかります。第9回目は、走りのBMWのイメージの象徴である「M3」の流れを受け継いだ「M4」を紹介します。
直6に戻ったM4
東京ベイエリアに一軒のガレージがひっそりと建っている。このガレージの主は、かつて伝説のスーパーカーディーラーと呼ばれたブローカー。若き日には首都高アタックやゼロヨンで鳴らした猛者だったという噂もあるようだ。
そんな彼の部下は、うら若きナゾの美女。彼女はクルマについてはまったくの素人ながら、ウンチクを垂れるばかりの社長の代わりに、天才的な営業センスと昭和&平成スタイルのトークで次々と入庫するクルマを売りさばいていく。
さて今夜はどんなスーパーカー、あるいはプレミアムカーが入庫しているのだろうか……?
社長「オオっ! 来たな~、M4クーペ。引き取りごくろうさん!」
美女「ただいま戻りました! 整備が終わって新車同様になったおかげで、パッと見じゃ上品そうなクーペなのに、オニ速ですよ~」
社長「見た目はフェラーリやランボルギーニみたいなスーパーカーに比べると大人しいけど、速さは負けてないだろう? それに、なんたってエンジンがイイんだ……」
美女「社長、テンション高っ! BMW、お好きですもんね」
社長「まだM3クーペって名乗ってたその前の世代。E92系のV8自然吸気も良かったけど、このM4で直6に回帰するって聞いた時は、やっぱり嬉しかったなぁ……」
美女「チョクロクって、ナンですか? どこかのオジサン用語……?」
社長「オジサン用語ってなんだよ? 直6ってのは、直列6気筒エンジンのことっ! 以前、話したことがあったと思うけど、若いころにE24系のM6が買えなかった俺は、独立してからE36系とE46系のM3クーペを乗り継いだんだ。どっちも直6の自然吸気24バルブを積んだヤツ……」
美女「あら、このM4はターボ車じゃないんですか?」
社長「そうそう、このF82系M4がデビューした2014年は、世界中の自動車メーカーがダウンサイジング化を図っていた時期だった。だから、先代にあたるE92系M3が4LのV8自然吸気だったのに対して、コイツは3Lの直6ツインターボ。でもパワーは、E92時代から11ps増しの431ps。トルクも56.1kgm出してるっていうから、そりゃ速いだろうさ。“Mツインパワー”と銘打った凝りまくりのツインターボで、自然吸気並みのレスポンスも実現したって言うしな」