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「ガルフ」と「ロスマンズ」のポルシェが登場! オートモビルカウンシルの会場をザワつかせた2台のル・マンカーとは?

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

ワークスが走らせたRothmansカラーがイメージカラーの962

一方のRothmans Porsch 962ですが、1983年に始まったスポーツ・プロトタイプカー=グループCカーによる世界耐久選手権(WEC)を当初からリードしたポルシェ956の後継モデルとして開発されたモデルが962Cでした。

そして956と同様にポルシェのワークス・チームが煙草のブランドであるRothmansのカラーリングでレースを席巻したのです。956はポルシェの競技車両として初めてアルミパネルで構成したモノコックフレームを採用し、より軽量で高剛性なシャシーを形成することになりました。

サスペンションは前後ともにダブルウィッシュボーンでしたが、リアのダンパー/スプリング・ユニットはパイプで組んだアッパーアームをベルクランクとして使用して作動させるタイプで、ユニット自体はミッションケースの上にマウントされていました。

956と962、962Cの違いですが、956はドライバーの足元にあるペダル位置がフロントアクスルより前方に突き出していました。対して新しい962と962Cはホイールベースを120mm伸ばして(フロントホイールを前方に押し出して)ペダルをフロントアクスルの後方に収めています。962は北米で戦われていたIMSA-GTP仕様で962CはWEC仕様という違いでした。ポルシェ962C

ちなみに、962と962C、言い換えるとIMSA-GTP仕様とWEC(のグループC)仕様の違いはエンジン。IMSA-GTPに関しては排気量だけでなくシングルカムかツインカムか、ターボかノンターボか、またターボ付きならシングルターボかツインターボか、とこと細かく規定されていて、956のエンジンは使用できませんでした。

そこで、934で使用していた水平対向2.85Lシングルターボの6気筒シングルカム(水平対向なので2カム)12バルブを流用することで解決。こうして登場した962に続いて、962にグループC用のエンジンを搭載した962Cが登場したのです。

もう少し具体的に962Cが搭載していたエンジンについても触れておきましょう。3Lの水平対向6気筒のツインカム(水平対向だから4カム)24バルブをツインターボで武装した935/83タイプで956の最終モデルでは空冷エンジンのヘッド周りだけを水冷としたハイブリッドでしたが、この962Cでは全水冷式、つまりヘッドに加えてシリンダーブロックも水冷化されていました。

2994cc(ボア×ストローク=95.0mmφ×70.4mm)の排気量から絞り出される最高出力は850ps。それでいてエンジン重量は195kgに過ぎず、車両重量でも900kgに納まっていましたから、まさに最強と呼ぶに相応しい1台でした。そんな962Cは956に続き、ワークスが走らせたRothmansカラーがイメージカラーとなっています。

* * *

残念ながら、Gulfカラーの917は、ポルシェ博物館をはじめとするいくつかの自動車博物館でお目にかかったことはありますが、レースの実戦でサーキットを駆け抜ける様は目にしたことがありません。それでも映画『栄光のル・マン』で見たGulf  Porsche 917の雄姿は、クルマ好き、レース好きの脳裏に焼き付いてしまいました。

一方のRothmans Porsche 962は、1982年に富士スピードウェイで開催されたWEC in JAPANで見せた圧勝ぶりが強く印象に残っています。今回のAUTOMOBILE COUNCIL 2023では、その両者が隣り合って出展され豪華すぎる2ショットが演出されていたのですから、これはもう望外の喜びでした。

Gulf  Porsche 917はレプリカであり、Rothmans Porsch 962はShuppan Porscheですから、ワークスマシンという訳にはいきませんが、Gulf  Porsche 917とかRothmans Porsch 962を名乗ることもなく、レプリカを表明し、またShuppan Porsche名乗る潔さにも好印象。いずれにしてもGulf カラーとRothmansカラーの2ショットは、言うならばジム・クラークとアイルトン・セナが共演するような“眼福もの”でした。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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