昭和から乗り続けているアルファ ロメオ1600ジュニアZ
2023年4月に埼玉県で開催された「カフェ・ド・ジュリア2023」にて、伴野圭一さん(65歳)が乗ってきた愛車は1973年式のアルファ ロメオ「1600ジュニアZ」で、1986年に購入したもの。それ以前の愛車はインディゴブルーの1974年式アルファ ロメオ「GT1600ジュニア」(伊藤忠モノ)だったそうだ。
ザガートが手がけたウェッジシェイプのスポーツカー
ジュニアZは、1969年から75年まで生産されたスタイリッシュなロードカーで、1970~72年に1300cc版が1108台、1972~75年に1600cc版が402台デリバリーされた。合計してもわずか1510台しか生産されていないので、かなり稀少なアルファ ロメオだといえる。
直線基調のウェッジシェイプは「カロッツェリア・ザガート」が描いたもので、車名の最後に付けられた「Z」はザガートの頭文字だ。大ヒット作となった「ジュリア」系の派生モデルとして1969年のトリノ・ショーでデビューしたジュニアZは、それまでの「SZ」や「TZ」といったアルミボディが与えられたザガート系アルファとは異なり、レースに参戦しないロードカーとして設計された。そのため、車体はスチール製であった。ちなみに、ザガートがデザインした個性的なアルファ ロメオは、その後、1989年に「SZ」(ES30型)が登場するまでリリースされなかった。
伴野さんがジュニアZを入手したのは1986年だから37年前、昭和の時代にさかのぼる。
「ジュニアZが欲しくて探していたら、イタリアから安く引いてきてあげるよ、というショップがあって、お願いしたんです。でも日本に届いてみたら、なんとか走っているぐらいのドンガラみたいなクルマだったんですよ。最初からキレイなクルマを狙っていたわけではなく、直してから乗ろうと思って買ったわけですが、コンディションがあまりにもヒドイ……という感じだったので、パリッとするまでに3~4年かかってしまいました」
定期的にメンテしながら5年前に念願のエンジンオーバーホール
「ジュニアZは、スタイルが好きなんですよ。ホイールはテクノマグネシオにしています。今でこそ、エクステリアがキレイですが、購入当初にとくに状態が悪かったのがフロントバンパーです。この部分のリメイクが大変でした。ジュニアZの1600用フロントバンパーがあいにく欠品だったので、どうしようか、と思ってアレコレ思案していたら、せっかくだから他の部分もやるか、ということになって、結局ボディを全部直すことにしました。パリッとするまでに3~4年かかったうち、2年かけてどうやって直すのかをプランニングし、その間に足まわりをオーバーホール。その後、ボディをやって、エンジンをやって、といった感じです」
作業が終わった1990年以降は定期的に整備をしながらコンディションを維持してきたらしいが、エンジンだけはずっと気になっていたのだという。
「エンジンもやってもらいましたが、本調子ではありませんでした。それで5年ぐらい前にオーバーホールしてもらい、今では本来の性能を発揮できています」
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今年で20周年となったイベント「カフェ・ド・ジュリア」を主催しているクラブ・ビッシオーネには2003年から在籍しているという伴野さん。アルファ ロメオのジュリア系だけを対象としたカフェ・ド・ジュリアには、105/115系のノーマル車ばかりが集まるので、これからオーナーになりたいと思っている自動車趣味人は来年の春に見学してみるといいだろう。