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スーパーカーブームの陰に隠れた名車マセラティ「ボーラ」が1700万円弱! いまならまだ夢じゃない

スーパーカーブームの陰に隠れた名車マセラティ「ボーラ」が1700万円弱! いまならまだ夢じゃない

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Auctions

新車時代の保護ビニールさえ残る超絶オリジナルコンディション

北米フロリダ州シー諸島のアメリア島にて、RMサザビーズの北米本社が開催した第24回目“AMELIA ISLAND”オークションでは、フェラーリに代表されるクラシック・スーパーカーの数々が続々と落札されていったが、そのいっぽうで異彩を放つ魅力的な出品車両も散見された。今回は、個性派オークション出品車両の一例として1973年型のマセラティ・ボーラ4.9をご紹介したい。

ライバルよりもちょっと地味? でも先進技術のかたまりだったボーラ

1971年に発表されたボーラは、マセラティ初のリアミッドシップ・エンジン搭載車であり、マセラティ初の完全独立型ダブルウィッシュボーン式サスペンションを搭載するなど、100年以上におよぶ歴史を誇るマセラティの業績を象徴するようなモデルだった。

ボディデザインを担当したのは、ギア社在籍時代にマセラティの歴史的名作“ギブリ”を手掛けたのち、まだイタルデザイン社を興して間もない時期にあった巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。彼が1960年代から手掛けてきた、一連のミッドシップ車コンセプトを多角的にとらえたスタイリングは、時を同じくして登場した世界的スーパースター“ランボルギーニ・クンタッチ(カウンタック)”のようなエキサイティングさにこそ欠けるものの、ステンレススチール製のルーフパネルなどが独特のエレガンスを表現する、均整の取れたデザインを実現していた。

ミッドシップに縦置きされるパワーユニットとして選ばれたのは、1950年代末の純レーシングスポーツ“450S”用として生を受け、のちにマセラティ初のミッドシップ・レーシングカー“バードケージ”ことティーポ63などにも搭載されたV型8気筒4カムシャフト。排気量は4.7リッターでスタートするも、のちに4.9リッターも追加された。

ライバルであるカウンタックやフェラーリBBが12気筒エンジンを誇示していたのに対して、ボーラはV8。しかしそのパフォーマンスはホンモノで、330psを発生するボーラ4.9は、頑丈なZF製5速トランスミッションとの組み合わせにより、マセラティ側では100km/hまで7秒以内で加速し、280km/hの最高速度を本当に出すことができると主張していた。

また、スチール製モノコックシャシーに直接取りつけられたV8は、重量配分や安全性、剛性も考慮した設計とされていたことも、現在では高く評価されている。フロントフードの下には、カーペットが敷かれたラゲッジスペースが設けられ、防音・防熱対策も万全。この時代のスーパーカーとしては、もっとも実用的なモデルでもあった。

そして何よりボーラの独創性を物語っていたのは、シトロエン製のハイドロニューマチック式コントロールシステムを大胆に導入していたこと。ベンチレーテッド式ディスクブレーキを駆動するだけでなく、ペダルボックスやドライビングシートのポジション、ヘッドライト、左右ウインドウをボタンひとつで油圧作動できる優れものだったのだ。

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