真正面から「本家」に寄せていった大本命・ミラ ジーノ
それとダイハツではもう1台、いよいよ核心に迫る(クラシックミニのイメージに限りなく近づけた)モデルとして1999年に登場したのが「ミラ ジーノ」。このモデルもノーズまわりではフード、左右フェンダーを標準車とはまったく別モノに作り変え、しかも前後の別体のメッキバンパーにはオーバーライダーまでつけた、時代考証的にもかなり念入りなクルマだった。
もちろんメッキのベゼル付き丸型ヘッドライトと台形風のグリルの組み合わせは、これはもう確信犯と言って口が悪ければクラシックミニへのオマージュともいうべき姿カタチ。しかも驚くべきことに「MINILITE special」と銘打った8本スポークのミニライトのアルミホイールを装着した仕様まで堂々とラインナップしていたのである。ちなみに3ドアの他に5ドアの設定もあった。
ここだけの話だが当時、クラシックミニ(35周年記念限定車だった)に乗っていた筆者は、うかつにも4ドアでパワステ付きだからいいかも……などと心なびかされそうになったものである。
このミラ ジーノは2004年には2代目にフルモデルチェンジ。専用ボディとなった2代目ではややオーバルな形状のヘッドライトや、ボディ形状になじませたランチアのどれかのモデルを思わせるようなリアコンビランプなどで洗練度を高め、インテリアもただシンプルなだけではない、味わいのあるデザインが与えられるなどしていた。
スズキもアルトCなど出していたけど影は薄かった
ほかにスズキでは「セルボモードC」(1995年)、「アルトC」(1999年)があった。が、この2モデルはこれまでにご紹介した他社のレトロ調モデルに較べ、肌感覚的には存在感が薄かったような気がする。手元でもアルトC(とアルトC2)のカタログがかろうじて残っていた。
復古調、懐古調と言い方はいろいろだが、要は量販車ゆえの画一化に飽き足らず、個性、味わいをより楽しみたいユーザーのために用意されたのがレトロ調の軽自動車だったと思う。