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「ミウラ」以前のランボルギーニ「350GT」は6000万円! 「カウンタック」に熱狂していた昭和40年代生まれの子どもたちの評価は?【スーパーカー列伝10】

「ミウラ」以前のランボルギーニ「350GT」は6000万円! 「カウンタック」に熱狂していた昭和40年代生まれの子どもたちの評価は?【スーパーカー列伝10】

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

豪華絢爛なグランドツーリングカーだった

自動車メーカーとしてのランボルギーニの第一歩となったのは、1963年のトリノ・ショーに出品したプロトタイプカーの「350GTV」である。フェラーリのシリンダーヘッドがまだSOHCだった時代にV型12気筒DOHCエンジンを搭載していた。このクルマを手直しすることで完成させた初の量産モデルが「350GT」で、ボディのデザインと製作をカロッツェリア・トゥーリングが担当。1964年から1966年までの間に140台前後が生産されたといわれている。

エキゾチックカーの生産に乗り出したフェルッチオは「助手席に座るレディのメイクアップが汗で落ちないような快適なクルマを造りたい」と語っていたともいわれている。だが、350GTはスーパースポーツカーというよりも豪華装備のグランドツーリングカーといったキャラクターで、その後継モデルである「400GT 2+2」も同じ性格であった(こちらは1966年から1968年までの間に約260台が生産された)。

ランボルギーニの初期を代表する350GTV、350GT、400GT 2+2にもファイティングブルのエンブレムが採用されていたが、400GT 2+2が積んでいた4Lエンジンを採用し、マルチェロ・ガンディーニのデザインによる流麗かつ迫力のあるボディをまとっていたミウラのインパクトがあまりにも大きかったので、往時の子どもたちはこれらミウラ以前のランボルギーニの魅力を理解することができなかった。

いま見るとフランコ・スカリオーネのデザインによる350GTVのボディラインもカロッツェリア・トゥーリングによる350GT、400GT 2+2のエクステリアデザインもカッコいいと思うが、鍋に入っている春菊の美味しさに子どもの頃は気づかなかったのと同じで、なかなか渋すぎて難解だったといえるだろう。

希少なオールアルミ製ボディの個体が6200万円

生産台数が少ないので350GTは高値で流通しており、少し情報が古いが2021年11月にフランスのポール・リカール・サーキットでRMサザビーズが開催した「THE GUIKAS COLLECTION」オークションでは1964年式ランボルギーニ350GTが47万7500ユーロ(当時レートで邦貨換算約6200万円)で落札された。約50台しか存在しないオールアルミ製ボディを持つ1台で、メカニカルな部分を9万ドルかけて修理しているそうなので、初期ランボのレア仕様にしては安価だといえる。

350GTは予算1億円で買うスーパーカーの中では地味な存在だが、自動車史にその名を遺す名車であることは間違いない。予算に余裕がある方は自慢のコレクションに加えてみるだけの価値があるだろう。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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