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フェラーリ「F40」でル・マンに参戦した記憶が蘇る! 70代クルマ馬鹿オヤジの「オートモビルカウンシル」放浪記

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TEXT: 山崎憲治(YAMAZAKI Kenji)  PHOTO: 山崎憲治/AMW編集部

トライアンフTR6で夜のLAを走りまくった記憶

わあ、1970年トライアンフTR6だ。若きクルマ雑誌編集者だった頃、給料を前借りして購入した中古TR4に2年乗り、追突事故の後、スピットファイア1.5に乗り換えた。その後は雑誌撮影で借り出したルーカス製インジェクションのTR5に心は動いていたが、手に入らず、LA取材時に現地の友人から借りたTR6に惑う自分がいた。日暮れに迷い込んだダウンタウン、危ない街、思いっきり逃げた。夜のLAを走りまくった記憶、ブリティッシュグリーンのTR6に魅かれていく。カルマンの手になるフェイスリフトを受けて、ミケロッティの寄り目はすでにない。アメリカ仕様、ゼニス・ストロンバーグキャブ。ふと触手が動くが……548万円。そのとき、白いTR4が目に入る。全輪独立懸架のTR4Aで、650万円。ともにせめてその半額ならなあ。

現在にまで連なるスポーツカーの歴史を体感

ヒストリックカーの値上がりはもう落ち着くことはないだろう。RMサザビーズで何億のフェラーリも、8000万円超のアストンマーティンDB6も煌めいてそこにいる。SR311フェアレディ、750万か。Z432、スカイラインGT-R-KPGC10、トヨタS800……もう価格は見ない。

カローラレビン、セリカXX、あ、オースチンヒーレー100/4、コンペティション仕様の100Sか。エンジンフードのルーバー、フロントウインドウはスポーツスクリーンに。ピラーの角度が変えられてスクリーンの傾斜角度を変えられるオリジナルもいいな。

おー、ロータス47。ピュア・ロータス・ヨーロッパ・レーシング、夢はワインディングを駆け巡る。

ホンダ・スポーツ360のコーナーではリボーンさせたスポーツ360が誇らしげに展示されている。その搭載エンジン、直列4気筒DOHC 354cc 30ps/8500rpmを引き継いだT360トラックも展示。ホンダスポーツの歴史の源流、歴史を体感する。

ロータリー伝道師のマツダコーナーでは、MX81がひそかに隅に。1981年ベルトーネの仕掛けたコンセプトカー、先鋭的だったな。フォルムはシトロエンBX、XMに通じる。ガンディーニ、デュシャンの面影が残る。インテリアに未来が内包されていた。で、今は。

思わず立ち止まる。シェブロンB16フォードBDG、シュパンポルシェ・ロスマンズ962LM、ガルフ917Kレプリカ、芳しい時代のレーシングカーが並ぶ。ひと息入れよう。あ、マセラティ・ミストラルスパイダー3500が。

誇り高きガソリン車たちの歴史にふたたび命を

内燃機の遊園地にいる。時代が走馬灯のように回っている。AIMやBYDといったEVは、なぜか視界からスルーしている。未来はBEV、NEV一色の時代になるのだろうな。ガソリン車時代の王者、キングたちも望郷の彼方か……。

煌めいていた夏の終わりのビーチサイドにいるようなわびしさに取り込まれている。内燃機エンジンのもたらした高揚、カムに乗るエンジンノート、エキゾーストサウンド、排気ガスの香り。さまざまなストーリー、レーストラックでの勇姿、グラベルでの雄姿、歴史に刻まれた誇り。煌めく夏のあの太陽に照らされて火傷していたあの麗しの時代。歴史追認ではなく、そのときどこで何をし、感じていたのかがよみがえるオートモビルカウンシルの逍遥。さあどこを彷徨うか……。

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