バリエーションを増やし世代を重ねても初代のイメージは貫徹
また2000年にはオープン2シーター(それまでのクーペの乗車定員は4名)のロードスターを追加設定。このモデルは1995年の東京モーターショーに出品されており、その市販版でもあった。電動ガラスウインドシールドとソフトトップをもち、当初はクーペと同じ1.8Tクワトロの左ハンドル・6速MTを設定。なおこのときにクーペとともに、当時指摘された高速走行中のスタビリティ対策として、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)とリアスポイラーが標準装備となっている。またロードスターにはクーペにはない「モカシン」と呼ぶブラウンの内装が与えられていた。
2001年にはFFモデルの1.8T(クワトロの225ps/28.6kgmに対して180ps/24.0kgmユニットを搭載)が追加されたほか、2003年には、フォルクスワーゲンのVR6型と共通のバンク角狭角15度の3.2L・V6を搭載した3.2クワトロがクーペに設定されるなどした。
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通算で3世代が誕生したアウディTTだったが、大きくイメージを変えなかったことでも、いかに初代のデザインの完成度が高かったかを証明していた。いずれにしても他のアウディ各車と異なるコンパクトなサイズだった初代アウディTTのカタログはまさにアート作品のそれを鑑賞しているようで、今眺めていても気持ちを静謐にさせてくれる。