「好き+壊れない」から飽きずに長く愛せる
「昔からの憧れ」「スタイルが好き」など旧車を選ぶ理由は人それぞれ。今回登場のHさんは見た目に惚れて直感で愛車を購入。予算があれば購入はできても、維持し続けるのは難しいのが旧車の道。とはいえ、たまにこんな偶然があるから面白い。
(初出:CARトップ2023年3月号)
可愛さ優先で選んだ愛車は15年間故障知らずで絶好調
若いころは名だたるスーパーカーやGTカーを所有。その性能を存分に楽しんできたHさん。最近は国産旧車にどっぷりで、日産のフェアレディZ(S30型)やホンダのS800など複数台をコレクションしている。なかでも一番のお気に入りが「ダットサン・フェアレディ2000(SR311型)」だ。
北米を中心に大ヒットを記録した初代S30Zが登場する以前の日産のスポーツカーで、1960年代当時のクルマ好きが憧れた1台である。購入したのは15年ほど前。ハコスカやS30Zなどの定番ではなく、ちょっとお洒落で可愛いクルマが欲しいと思っていたときに出会う。
「旧車は好きだけれど、マニアではない。正直第一印象だけで決めました。レストア済みで、ビデオや写真などで作業内容がこと細かく記録されていたのも決め手です。さらに納車時にはダンボール3箱分のパーツも付いてくるなど、今思えばお得な買い物でしたね」
ボディにフィットするチンスポや前後フェンダーのフレア加工など、オリジナルのよさを崩さない範囲で程よくカスタマイズされ、純正よりも鮮やかな赤でリペイント。ややヤンチャだが、行き過ぎていないスタイルは好感が持てる。
ファインチューニングも施されて爽快な走りが楽しめる
HさんがSR311を溺愛する理由はスタイリングもさることながら、これまでほぼトラブルフリーで乗られていることも大きい。シャシーは丁寧にレストアされており、確認のため持ち込んだ信頼のおけるお店からもお墨付きを得ている。
エンジンもオーバーホールついでにファインチューンが施されているようで、少々手が入った仲間のハコスカやS30Zにならついて行けるくらい調子がいい。キャブの調整は行ったが、購入してから定期的なメンテナンス以外、何もしていないというから、まさに大当たり。
「好きで買ったクルマでも、壊れてばかりだと嫌になります。逆にトラブルがなければ、より楽しむために手が掛けられる。同じお金を使うのでも気分が違いますよね」
現在、コレクションはイベント参加やクルマ仲間とのツーリングで使う程度だが、やはりSR311の鍵を取ることが多いという。アタリのクルマを引くのは金額だけではないのが、古いクルマの難しさ。まさに“縁”なのである。