身近にサーキットを楽しめる機会
今回久しぶりに参加となった高橋 修さんは、HDRS開催当初から参加しているメンバーのひとり。今回は車両を乗り換えたこともあって練習をしたいと久しぶりの参加となった。ちなみに高橋さんは2011年にバイク事故で脊椎損傷(Th4)を負い、下半身の完全麻痺となっている。
「(HDRSは)身近にサーキットを楽しめる機会だと思っています。今回は車両を乗り換えたことで参加したのですが、もともと自分の手には負えないクルマだということは知っていたものの、実際にこうやって走ってみて、より手に負えないクルマだということがよくわかりました。久しぶりのサーキットだったこともありますが、すごく疲れましたね」
サーキット未経験でも楽しめた
まだ若干20歳という芹澤 輝さんはこのHDRS初参加。2022年3月、スキーのジャンプでの事故で腰椎(Th12)の損傷で不全麻痺だという。下肢の感覚はまだらにあって、左足は動かすことが可能だという。事故後はチェアスキーや車いすテニスを楽しんでいる。もともとクルマにも興味があったということで、このHDRSを見つけて参加したという。なお、サーキットは全くの未経験であった。
走行後には「タイヤの空気圧のチェックもしないで走り出してしまいました。タイヤ大丈夫ですかね?」と気にしつつも「すごく楽しかった」とコメントしてくれた。
今回助っ人講師としてHDRSに初めて参加した中島佑弥選手は次のようにコメント。
「サーキットでの講習というのはこれまでも経験がありますが、ハンドドライブというのは初めての体験でした。今まで触れたことのないものに触れることができて楽しかったです。足を使わないでクルマを操作するというと、レースシミュレーターのグランツーリスモをコントローラーで操作するようなものかと思いますが、自分はそっちのほうも不得手でして……。センスがないなと常々思っているので、上腕だけで器用にクルマを操作している皆さんを見ることができて、素直に尊敬しちゃいます。
レーシングスクールのほうは、クルマをしっかり動かしてしっかり止めるということができるようになったと思います。皆さん運転が上手になれば、万が一の事故に遭いそうな場合でもそれを回避できることにつながるかもしれません。これからも楽しみながら運転のスキルを上げていってもらえたらと思います」
最後に青木選手も「今日はそれぞれのクルマの限界を感じることができたと思います。今日学んだのは、非日常体験です。帰りの走行は、サーキットとは異なる一般公道ですので、十分気をつけて帰ってください」と締めくくった。HDRS、次回は2023年7月26日(水)に、今回と同じ千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイで開催となる。