開幕戦での最年少優勝の快挙
アメリカのドリフト競技「フォーミュラドリフト」は、D1グランプリのアメリカでの開催や映画「ワイルドスピード」シリーズの成功を受けて、2004年に発足した。日本でも2014年にフォーミュラDジャパンとして、富士スピードウェイと岡山国際サーキットでエキシビションが開催され、その翌年からシリーズ戦として行われている。2023年度はシリーズ全6戦で行わることも決定し、4月22日(土)と23日(日)に三重県の鈴鹿ツインサーキットで開幕戦が行われた。今年は開幕戦からマッド・マイク(ニュージーランド)、シアム・ベンジャミン(シンガポール)、ミンミン(タイ)などの海外勢もフル参戦で挑む。開幕戦のリポートをお届けしよう。
予選は松山北斗選手が見事単走優勝に輝いた
予選が行われたのは4月22日。各選手が単走2本で勝負し、3名の審査員が上限100ポイントで審査する。2023年のシリーズチャンピオン・松山北斗は、CUSCO RACINGに移籍しA90スープラでの参戦となった。その松山北斗の予選1本目は、最後となる43番手で出走。91ポイント(ライン25点・アングル28点・スタイル38点)を獲得し、この時点でトップに立つ。2本目はミスにより1本目の得点を上まわることはできなかったが、90点以上を獲得した選手はこの松山北斗のみで、見事単走優勝に輝いた。
予選2位は1本目88ポイント、2本目89ポイントを獲得した箕輪大也。3位には1本目84ポイント、2本目89ポイントを獲得した草場佑介が入り、CUSCO RACINGが上位を独占する。
予選4位はGOODRIDE MOTORSPORTSに移籍しRZ34に乗る日比野哲也、5位はブラジル出身のユキオ・ファスト、そして6位は小橋正典、7位はKANTAと、常に上位に食い込むLINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGEが入った。
松山北斗選手にトラブル発生でコースアウト
23日の決勝戦は、2台が同時にスタートして勝負する「チェイスバトル(追走)」で行われる。決勝に進出した32名がトーナメント方式で対戦し、その頂点を目指すのだ。
予選1位の松山北斗は、トップ32で今年からレクサスIS3500に乗る予選32位の長瀬幸治、トップ16でマッド・マイク、グレイト8で蕎麦切広大を下し、ファイナル4に進出。ファイナル4では2023年の最終戦で優勝し、勢いに乗る髙橋和己と対戦した。
髙橋和己は、予選20位の塙 彰拡、予選29位の佐藤拓巳、予選5位のユキオ・ファストを破り、ファイナル4に進出してきた。先行の1本目、角度あるドリフトで豪快に振っていく松山北斗に髙橋和己が食らいつく。髙橋和己が先行の2本目も両者良い走りを見せ、勝負は審査員全員が違うジャッジを下すという、珍しい形でのワンモアタイム(延長戦)となった。
ワンモアタイム1本目、先行する松山北斗がタッチアンドゴー付近で左リアを落としたときにトラブルが発生し、フィニッシュライン付近でコースアウト。5分間ルールを使い修復作業に入るもタイムアウトとなり、髙橋和己のファイナル進出が決定した。
予選2位の箕輪大也は、トップ32で予選31位の久保和寛を下すと、トップ16で予選15位のミンミン、グレイト8でKANTA、ファイナル4ではワンモアタイムの末小橋正典を破り、ファイナル進出を果たす。
優勝したのは13歳の中学1年生
ファイナルは、予選2位の箕輪大也と予選13位の髙橋和己の対戦。しかし髙橋和己はエンジン系のトラブルも抱えており、マシンも完璧ではない状態での戦いとなった。箕輪大也先行の1本目、箕輪大也にうまく合わせた高橋和己だが、2本目は先行の髙橋和己のマシンにキレイに合わせてきた箕輪大也に軍配。ここにきてやはり髙橋和己のマシン不調が影響してしまったようだ。これで箕輪大也が、フォーミュラDジャパンにおいて嬉しい初優勝を飾った。
箕輪大也は、現在13歳の中学1年生。両親はともにフォーミュラDジャパンで活躍したドライバーで、父親の箕輪慎治はD1GPなどにも参戦し、埼玉県所沢市でチューニングショップ「HEY MAN PRODUCTS」を経営する。
母親の箕輪昌世は、2021年までフォーミュラDジャパンの選手として活躍後、箕輪大也がフォーミュラDジャパンに昇格すると同時に、自身はFDJ2のドライバーに転向。小さい頃からサーキットで育ったといっても良いくらいの環境で育てられたサラブレッドである。
2021年にはMSCチャレンジでシリーズチャンピオンを獲得しフォーミュラDジャパンの出場権を得て、2022年からフォーミュラDジャパンにCUSCO RACINGから参戦。2022年シリーズの参戦当初はA90スープラに乗っていたが、シーズン途中からGRヤリスに変更している。2022年に富士スピードウェイで行われた最終戦では5位入賞を果たし、シリーズランキング16位に入った。この開幕戦での最年少優勝の快挙で、2023年度のシリーズチャンピオンも夢ではなくなった。
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第2戦は、5月20日(土)~21日(日)に福島県のエビスサーキット西コースで開削される。この第2戦には、WRC(FIA 世界ラリー選手権)チャンピオンのカッレ・ロバンペラ選手が、 KR69 CUSCO Racingから『Red Bull GR COROLLA』で参戦することを発表されるなど、今後も見逃せないフォーミュラDジャパンに注目していきたい。
【リザルト】
FORMULA DRIFT JAPAN ROUND.1 SUZUKA TWIN CIRCUIT(2023.4.22 -23)優勝 箕輪大也 GRヤリス 東京都 CUSCO RACING
2位 髙橋和己 BMW-E92 千葉県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE
3位 松山北斗 A90 静岡県 CUSCO RACING
4位 小橋正典 S15 青森県 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE
5位 ユキオ・ファスト S15 ブラジル SIDEX JAPAN WITH SAILUN TIRE AND LBWK
6位 KANTA JZX100 福島県 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE
7位 蕎麦切広大 GR86 岐阜県 SHIBATA Racing YOKOHAMA
8位 目黒雄大 JZX100 山口県 ISSIN ORIGINLabo.
9位 草場佑介 GR86 埼玉県 CUSCO RACING
10位 笹山栄久 AVC10 千葉県 DSL.com