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ル・マン24hクラス優勝者がEVレースにハマる!? 余郷 敦選手が引退を覆してまで「テスラ」で戦う理由とは

JEVRAのレースシーン

今シーズンで14シーズン目を迎えたJEVRA(日本電気自動車レース協会)シリーズ。近年はテスラ モデル3での戦いが熱い!

EVレースに挑戦し始めて2シーズン目の余郷選手

2023年5月14日(日)、富士スピードウェイにてJEVRA(日本自動車レース協会)第2戦となる「全日本富士EV55kmレース」が開催された。

今シーズンは55kmレースと60kmレースが設定

JEVRAシリーズは、EVレースを通じてエコの推進と、EVの開発スピードを速めるための「Proving Ground(開発・実証の場)」を提供することを目標に開催されている。基本的に電気自動車(燃料電池車のほか、発電のためだけにエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVも含む)のみで行われるレースとなる。

2010年にスタートし、初年度こそ年間2戦のみの開催だったが、現在は年6~7回開催。2023年も筑波、富士、袖ケ浦、SUGOで全6戦が行われる。シリーズ当初から50kmのレース距離で行われてきたが、今シーズンは55kmレースと60kmレースが設定されている。

14シーズン目となる今シーズンも、市販車クラスはEV-1(モーター最大出力251kW以上)、EV-2(モーター最大出力151kW以上251kW未満)、EV-3(モーター最大出力151kW未満)とモーター出力で3クラスに分けている。それ以外にEV-F(燃料電池車クラス)、EV-R(レンジエクステンダー/発電をエンジンで行う車両)、EV-C(エンジンをモーターに換装したコンバート車両のコンバートクラス)というクラスも設定される。今回出場はなかったものの、SUVクラス(EV-S/モーター出力自由)、EV-P(開発車両/レース専用車両のプロトタイプクラス)も用意されている。

第2戦となる富士戦では、雨に悩まされた週末となった。予選は路面ウエットながらも薄陽が射す状況下で20分間のセッションとなり、トップタイムとなる1分59秒366を叩き出したのが、余郷 敦選手(#1 タイサンBIR BOSCH TESLA/テスラ モデル3)である。

余郷という名に覚えのある方も多いだろう。全日本GT選手権(現在のSUPER GT)のGT300クラスに参戦(通算3勝)してきたのはもちろん、2000年から2003年の4回にわたりル・マン24時間レースに出場し、2000年にはLM-GTクラス優勝(#73 TAISAN PORSCHE 911 GT3R/福山英朗、余郷 敦、ブルーノ・ランバート組)も果たしている。

いかに効率よく速く走るかが勝利へのカギ

そんな余郷選手は2012年に第一線から退いている。現在も声がかかればレースへの参戦をすることはあるというが、それはレースが好きだから声がかかれば乗る、という程度だという。そんな折、チーム・タイサンの千葉泰常氏からに呼ばれ、タイサンがこのJEVRAシリーズに参戦させているテスラ モデル3のステアリングを2022年シーズン途中から託されている。

第一線から退いたことについては、次のようにコメント。

「ちょうどその年に親父が亡くなり、同じチームで走っていたレーシングドライバーのOSAMUさんも亡くなって、年齢のことも考え、自らを積極的に売り込むような活動は終了しました」

それでもやはりレースは好きだから、話をもらったときには走っているそうだ。余郷選手は、このEVレースについて以下のように語ってくれた。

「電気自動車だからといって、全くレースができないわけではないです。やっぱりレースモードになればレーシングカーという側面も出てきます。ただ、航続距離の問題や充電時間の長さなど電気自動車ならではの難しさもあって、最初は『えぇ~』ってこともありましたが、このEVレースでは朝早くに予選があって、全車が充電できるだけの長い充電時間が用意されていて、夕方決勝レースとなる。それもいいんじゃない? って最近では思っています。

またレースに関しても、どうマネジメントしていくか。それもバトルをしながら。こういう形のレースがひとつくらいあったっていいんじゃないですかね? そんなところにも面白みを感じています。そして、耐久レースのような面白さもあります。目いっぱい踏んでいって行こうと思えば行けます。でもそんなことをしたら最後はきつくなってしまいます。予選では一発の速さが重要ですが、決勝では最後に誰が前に出るか、です。相手の出方を想像しながら、ピットと電費を確認しつつ、いかに効率よく速く走るかというところに面白みを感じています。

このレースでは毎回動画がアップされているのですが、同じように走っているライバル車両のアラートの表示を確認してみたりしても楽しんでいます」

2022年はシーズン途中から4戦出場し、今シーズンは開幕戦からフルエントリーしている。チーム・タイサンの千葉代表からは「最年長チャンピオンを獲りたい」とのオーダーもあるという。ちなみに余郷選手は1965年生まれの58歳。EV-1クラスに参戦しており、開幕戦は2位、そして今回の第2戦も2位となった。残り4戦での活躍を期待したい。続くJEVRA第3戦は6月18日(日)、千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイで55kmレースを開催予定である。

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