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「小さなセルシオ」を目指した「プログレ」「ブレビス」「ヴェロッサ」を再評価。トヨタの1代限りのセダンがなんだかイイ感じ【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

ヴェロッサ:イタリアンな雰囲気のスタイルをまとい登場

それともう1台が、ヴェロッサだった。車名はイタリア語の「Vero(真実)」と「Rosso(赤)」を組み合わせたもの、開発のキーワードは「Emotional」と聞けば、おのずとイタリアのあのクルマやこのクルマを連想しないわけにはいかなかった。カタログもトップページからイタリア語で「Una Guida Emozionante(刺激に満ちた導き……といったところか)」とあり、ページをめくっていくと今度は「ミラノから片側3車線のアウトストラーダを南に走る。トスカーナ丘陵地帯のワインディングロードをしなやかに駆け抜ける。そんなドライビングをイメージしながら……」といったボディコピーが載せられていた。

このヴェロッサのプレス向けの試乗会が開催された際(たしか山梨・小淵沢周辺。客室にはカッシーナの椅子が備え付けられた、マリオ・ベリーニ設計のホテルがベースだった)、個人的な話ではあるが筆者は自分のクルマをアルファ ロメオ「156」かあるいは「166」に乗り換えた頃で、そのどちらかで会場に向かった。そして現地でヴェロッサの実車を見てじつに感慨深いものがあり「ウーム」と唸ったことを思い出す。

エンジンは直列6気筒ツインカム24バルブVVT-iでトップグレードのターボは280ps/38.5kgmの性能が与えられ、前後異サイズのタイヤまで装着していた。その走りは言葉で表現すれば、理屈抜きで夢中にさせられる気持ちのいいものだった。

だが、そのスタイルは「じつに奮ったもの」であったことは間違いないが、ジックリと眺めていたくなったかどうかというと話は別。ただし時代が違うが、セダンが貴重になりつつある今見返すと印象が好転して、個性を味わう気持ちの余裕がコチラにも生まれたかもしれない……とこの記事の原稿を書きながらカタログを久しぶりに眺めて、そう思っているところだ。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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