一風変わった愛称で親しまれたクルマ
自称●●というのは、結構いただけないものが多いが、自他ともに認める愛称があるのは、みんなから愛されている証拠でもある。クルマでも正式な車名より、愛称で呼ばれる車種がいくつかあるが、そうした愛すべきクルマたちの個性的なネーミングをいくつか振り返ってみよう。
ダルマ(トヨタ セリカ)
禅宗の祖師であり、縁起物でも知られる達磨大師ことダルマさん。子どものおもちゃにもなれば、選挙の道具にもなり、ウイスキーの愛称やお店の屋号にもなるのは、達磨が本当の悟りを開いた大きな人物だったからだという。そしてクルマの愛称で達磨といえば、初代「セリカ」。下半身が丸く、グリーンハウスが小さく、目端が切れ上がって、バンパーがヒゲのような形だったからこの愛称で呼ばれた。
日本初のスペシャリティカーで、エンジン、トランスミッション、内装を自由に選べる「フルチョイスシステム」と呼ばれるプログラムを採用したのが大きな特徴。初代はシルエットフォーミュラ(レース)でも注目され、2代目以降はWRCでも大活躍した。7代目T230型を最後に血脈は途絶えてしまったが、ダルマの七転び八起き、不撓不屈の精神で、今一度復活してほしいモデルだ。
バリカン/電気カミソリ(トヨタ コロナ)
世間を震撼させた新型コロナ(COVID‑19)は5類に移行したところだが、クルマ業界で「コロナ」といえば、トヨタの中型セダンのこと。そのコロナシリーズで、はじめて大ヒットした3代目コロナは、バリカンあるいは電気カミソリという愛称で呼ばれていた。「アローライン」と呼ばれる傾斜したフロントノーズのデザインが独特で、その形状からバリカン、電気カミソリと呼ばれるようになった。
銭ブル(日産ブルーバード)
GWの『金曜ロードSHOW!』で、『ルパン三世 カリオストロの城』が放映された日、Twitterで「埼玉県警」がトレンド入りしていたが、それは埼玉ナンバーの「ブルーバード」が、ヨーロッパが舞台の劇中で走り回っていたため。
その『カリオストロの城』で銭形警部が乗車していたパトカーが2代目のブルーバードだったため、2代目ブルーバードは「銭ブル」と呼ばれている。デザインはピニンファリーナが担当。1966年のサファリラリーでも優勝し、セールスでもライバルであるトヨタ コロナとしのぎを削った。
ブルドッグ(ホンダ シティターボII)
1983年に登場したホンダ「シティターボII」は、「ブルドッグ」の異名で知られている。1.2Lクラス初のインタークーラーターボを装着し、大きなパワーバルジと大型フェンダー=ダイナミックフェンダーがアイデンティティだった。過給圧を制御するウエストゲートコントロール機構にも PGM-FI(電子燃料噴射装置)を採用し、エンジン回転数が3000rpm以下のときにアクセルを全開にすると、10秒間だけ過給圧が10%アップする「スクランブルブースト」機能も装備。ワンメイクレースのブルドッグレースも人気があった。