内装はもちろんエンジンまで手が加えられていた
「デボネアVロイヤルAMG」は、1964年に登場したデボネアが発売から22年で初のフルモデルチェンジ(1986年)をした2代目に追加設定されたモデル。これが三菱自動車とAMGのコラボモデルの第1弾である。そのデボネアの登場から3年、再び三菱とのコラボモデルとして登場したギャランAMGは、デボネアのそれとはまったく異なる仕上がりとなった。内外装はもちろん、エンジンにまで手を入れているのが特徴である。
搭載する4G63のNAエンジンは、AMGにより中空カムシャフトバルブや量産車として世界初のチタン合金リテーナ、ステム細軸化、ポート径拡大、ピストン変更、触媒排気抵抗低減。プレミアムガソリン仕様化などのチューニングを施し、排気系も改良されている。ギャランのNAの2L DOHCエンジン車(MC後)車で145psだったが、AMGは170psを発揮する。
外装では、前後バンパースポイラー、サイドスカート、さらにリアウイングが装備されている。インテリアではAMGデザインのグレーツートンシートや本革ステアリングを採用していた。
ギャランといえばVR-4のイメージが強いが……
6代目ギャランのトップグレードと言えば、ギャランVR-4であることはだれもが認めることだろう。ターボエンジンの4WDモデルで、さらに4輪操舵の4WSを装備するなど、圧倒的なパフォーマンスを発揮する。ちなみにVR-4のMC後モデルは、284.2万円(AT車/東京・大阪・名古屋地区価格)のプライスタグをつけいた。その一方で、NAエンジンでFFモデルであるAMGは289.7万円(AT車/東京・大阪・名古屋地区価格)ということで、「ギャランの一番高いの持ってきて」とオーダーすればAMGが届いたのだ。
しかし人気のVR-4に対し、販売では苦戦した様子で、短い販売期間で小変更が行われており、3期に分類することができる。AMGが登場した1989年10月の「前期モデル」。そして、その翌年1990年10月にはホイールのデザインが変更され、シートの設定が異なる「後期モデル」に。さらに1991年3月には、装備を抑えリーズナブルな価格設定とした「タイプII」が追加され、後期標準モデルはそれ以後「タイプI」と名乗ることになった。
VR-4はたまに中古車市場で見かけることはあっても、AMGはまず出てこない。噂では販売台数は約1400台ほど。バリバリの希少車だろう。
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ということで第1回目は車両についてあらためて振り返ってみた。この希少名車を持っていた前オーナー、難しい交渉をすることもなく「もしこれから大事にして長く乗ってくれるのなら」と、快く譲ってくれた。
実際に車両の見た目は、埃をかぶってはいるものの、しっかり覗き込んでみるととくに大きな問題は無いように見えた。車室内も納屋(実車両を見たときには納屋自体が新しいものに建て替えられていたが)での保管ということで、色褪せもインパネの割れもなく、前オーナーからは「ブレーキの引きずりが若干見られた程度」ということで、程度は極上と言えるだろう。次回は「納屋モノを復活させるという難しい問題」の実体験をレポートする。
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