ライバルだったトヨタ・マークIIと妖艶さを競っていた
ゴージャス感といえば内装もそうだ。ローレルはもともとルーズクッション風のシートを採用するなど、ラグジュアリーな雰囲気を打ち出していたが、この5代目では目にもまばゆいばかりのワインレッド(バーガンディなどとも呼ばれた)の内装色をシート表皮、インパネ、ステアリング、トリム類に採用。ライバルだったトヨタ・マークIIとその妖艶さ(?)を競っている。
また装備関係も、シートヒーターやミラー連動の6WAYマイコンパワーシートをはじめ、エミネンスサウンドシステムと呼ばれたオートボリュームコントロール、7極グラフィックイコライザー付きのオーディオや、液晶の特性を使い昼夜間の切り換えをおこなう世界初のオートリフレックスルームミラーなども設定された。
それともうひとつ、ミラー関係で世界初の電動格納式カラードドアミラーがこのローレルに採用されたことが見逃せない。カタログにも「世界初」とうたわれており、昔の写真用品のケンコーのカタログのクロスフィルターの作例写真のようなキラリ! と光の筋を入れた、比較的大きめの写真とともに紹介している。なお同じ機能はマークIIも翌1985年にはすぐさま投入していた。さすがトヨタ、である。
L型に代わる当時としては新世代の日産のパワーユニットを搭載
一方でメカニズム関係では、この5代目ローレルでは2機種のエンジンが新搭載された。ひとつはV6・2LターボのVG20E・T型(170ps/22.0kgm)、もうひとつが直列6気筒・2LのRB20E型(130ps/18.5kgm)だった。いずれもそれまでのL型に代わる当時としては新世代の日産のパワーユニットである。
組み合わせるATについても、パワー・エコノミー自動切り替え式スーパートルコンとし、パワーシフトが選べるマニュアルスイッチも備えたものだった。前記のパワーユニットを搭載した4ドアハードトップでは、フロント:ストラット、リア:セミトレーリングアームのサスペンション、VG20E・T搭載車では4輪ディスクブレーキも標準採用していた。
カタログには日本語の単語で「豪華」「先進」「格調」といったコトバが並ぶ。同時期の7thスカイラインは電子制御式4輪操舵のHICASを投入し、「やわらかい高性能」「人にやさしい、都市工学」と、それとなくだったが、スカイラインらしく走りを訴求。対してローレルは、初代からのハイオーナーカー路線を続けながら、ユーザーの満足度をいかに高めようか……と腐心しているクルマのようにも見えた。
事実で言えば、名ブランドのスカイラインとのタッグをもってしても、この時のマークII/チェイサー/クレスタの牙城を崩すまでには至らなかった。